あとがき



■ご挨拶

 

 初めての方は初めまして!


 いつも作品を読んでくださっている方は大感謝!

 

 どうも、やまだです!


 

 Web投稿作品を完結させるのが初めてだったので、試写会で挨拶する映画監督にでもなったような気持ちで、そわそわしながらあとがきというものを書いています。


 この「うすあかり」ですが、とあるネット上のお知り合いの方(某動画配信プラットフォームで配信活動をされている)から、「朗読できる作品とかって書けたりしますか?」なんて言われたことをきっかけに、完全に【エエトコ見せたい精神】で書き始めた作品でした。


 正直、今でも内容的にカテゴリ分けを迷っている作品ではあるのですが、一応の認識としては散文詩という扱いで、やまだがこれまで挑戦したことのない分野ということになります。

 

 難儀する部分もあったり、ぶっちゃけ開き直ってたりする部分もあったり、とにもかくにも「非常に貴重な経験をさせてもらった」と書き終えた今、感じている次第です。


 いやー、楽しかった。楽しかったし、直接感想を頂けた機会なんかもあって嬉しかった。


 この作品を読んでくださったみなさんにも、面白がって頂けていたら、それが何よりのことです。


 ここまで読んで頂けたこと、謹んでお礼を申し上げます……!

 

 

 さて、あとがきということで、以下、ちょっとした作品解説というか総くくりっぽいことをば。


 すんごいざっくりした内容ですが、興味を持って頂けた方はぜひ読んでやってください。


 自作品語り的な内容を書くのも、いまいち格好がつかないかもですが。笑

 

 

■全体を通して意識したこと

 

①前知識の必要な暗喩を使わないこと

 例えば、「花の匂い=移ろっていくもの」みたいな、詩を読み慣れていないと分からないような奥ゆかしい暗喩表現みたいなものを極力なくしました。詩ってむしろそういう部分に面白さがあるっていうのも分かってはいるのですが、せっかく『人生』という誰もが感じ入ることのできるようなテーマを題材にしているので、読解の裾野を広げたかったっていうのがその理由です。

 もちろん、現段階でのやまだの圧倒的な知識・技術力不足による開き直りも実はあったりはするのですが、だからこそ逆に、自分が今表現しうるエモを最大限に引き出せるようがんばりました。「想起や発見の中にある感傷」みたいなものが上手く形になっていればいいなぁ……。

 

②解釈を狭めないこと

 やまだは「人間って必ずしもすべての事柄を言語化できるもんじゃないよなー」「言語化できるものがあったとして、全員が同一の言葉で解釈できるとは限らないよなー(下手すればその人自身でも、その時その時の気分次第で違う言葉で解釈するよなー)」っていう謎に穿った価値観を持っています。なので、全体的に「ここ、もっと詳しく書いてほしかったな」って部分が多かったんじゃないかと思ってます。そのへんは正直思うところがあって。どんな作品にも通ずる話なんですが、作品ってそれを作る人がいるだけじゃ完成しない気がするんだよなー、っていう。だから、せっかく散文詩(っぽいもの)を書くんであれば、その『作品が完成するのに必要な部分』を多少大きめに読む人へゆだねてみたかったっていうのがあります。


③ちょっと難しくすること

 なんか①の内容と矛盾してる気がするな……。でも、なんか、「わかるな~」って感覚より、「ちょっとわかるな~」って感覚の方が、ちょっと心の繊細な部分に触れているような感じがしていいんじゃないかなー、なんて素人だてらに思いまして。文章のつながりの意外性というか、「なんでその文のあとにその文や接続詞を持ってきたんだろう」みたいなのがあると、より引きのある内容になってくれるんじゃないかという期待を込めて、全体的に「何言ってんだコイツ」要素を含んだ文章にしています。

 やまだのルーツがやや哲学チックだからってのもあったかもしれません。



※※ここから先は解説っぽい内容になります。いろんなことを考えながら読んでほしいなー思っているので、これが解釈の正解だとは思ってほしくないんですが、読んだ後に照らし合わせる対象があるのもちょっとした楽しみになるのかなと思って記載することにしました※※


 

■全体の構成(セトリの意図的な)

 

 ものっそいふんわりとですが、一応、二作ごとに呼応するようなテーマを持たせてます。「愛情/勇気」「世界/現存在」みたいな感じで。

 それ、本当に呼応してる?内容も本当にそのテーマで合ってる?って思っても目を瞑ってやってください。割と思い付きと勢い半分で書いていたフシもあるので……。

 最後の【幸福】だけ独立してるっぽいですが、一番総まとめっぽいテーマなので、全部の作品がこの一作品に収束していくって考え方だといいの……かな……?(書いた本人が自信ない)

 

~~~~~~~~~

 

 薄明り/いぬねこ異論

 →愛情/勇気

 

 地べたに口ずさむ歌/宇宙飛行士の恋

 →世界/現存在(今ここに生きている私)


 月下異人/からっぽの箱

 →隣人/孤独


 絶望中毒/忍冬

 →絶望/希望

※文字数の関係で一部サイトでは『忍冬』は未公開となっています


 朝焼け/夕涼み

 →投企/自省

 

 夢→幸福

 

~~~~~~~~~



■各作品へのざっくりコメント


『薄明り』

→「ミネルバのフクロウは夕べに飛び立つ」なんて言葉があるらしいです。何かを考えれば考えるほど虚無っちゃうやまだなんですが、人生っていう道の先にあるものを自分のこの目で見てみたい。そんな気持ちで書いた文章です。ニーチェっていう哲学者の【運命愛】って用語を調べると印象が変わったりするかもしれません。


『いぬねこ異論』

→変人扱いされても、空気読めないとか言われても、このくらい芯の通った人間になりたいなー、と思うことがちょくちょくあります。

 

『地べたに口ずさむ歌』

→「どぶねずみみたいに美しくなりたい」みたいなことを書いてみたかった文章です。綺麗で遠い空ばっかりじゃなくて、たまには当たり前にそこにあって自分を支えてくれていたものも褒めてあげたいなー、なんて。


『宇宙飛行士の恋』

→「自分は宇宙の中ではちっぽけな存在だよなー」なんて思いつつ、「でも仮にでっかい存在になれたとして、なんか変わることってあるのか?」と思いながら書きました。


『月下異人』

→推し活はいいぞぉ~。フゥ~。


『からっぽの箱』

→自分の人生は自分だけのもの。自分でも気付かないうちに、それを他人に預けてしまってはいないだろうか。


『絶望中毒』

→やまだの大体70%くらいは負のエネルギーで構成されています。


『忍冬』

→やまだの大体20%くらいは前向きパワーです。ちなみに残った10%は「もういい年になったんだから大人に怒られたくない」という消極的モチベです。


『朝焼け』

→結局仕事してるときが一番メンタル安定するんだよな。

 

『夕涼み』

→自分を責めるのを悪いこととは言わないけども、なぜ責めるのかを改めて考えてみてもいいんじゃない?


『夢』

→この世は生きるに値する。そう信じてどうにかやってます。



■さいごに

 

 語りっぽい文の作品について、一人称はあえて「私」でやりました(『月下異人』だけ例外)。「僕」でも「俺」でも「あたい」でも「わっち」でもなく、あえて中性的なものを選びました。


 何人か読んでくださった方に「この『私』はどんな人だと思う?」というような質問をしてみたのですが、人によってちょっと達観した女性の独白を想像する方もいれば、人生に疲れたおじさんの背中を思い浮かべる方もいらっしゃって、面白いなーと思いながら拝聴しました。


 この作品の解釈に正解はやっぱりありません。ただ、無理やりこの作品に登場する〝人間〟の共通項を探すとすれば、孤独で、誰かの心の内側にしか存在しないような者であるってところでしょうか。


 あなたはどの文章に対してどんなことを思ってくださいましたか?


 それぞれの解釈にそれぞれの人生がある気がして、やまだは「うすあかり」を書いて本当によかったな、と思っています。


 もしかしたら、ふと思い付いた時にまたこういった形式のものを書いてみるかもしれません。

 

 まだまだ物書きとして未熟な身ですが、興味を持って頂けた方は今後とも応援して下さると幸いです。

 

 よければ作品のご感想もお待ちしております。


 末筆となりますが、改めてみなさんに感謝を。


 それではありがとうございましたー!




▼▼――「うすあかり」――完

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うすあかり 山田奇え(やまだ きえ) @kie_yamada

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