第2話 赤色の肌に白い服
突然咲希の体は中に浮いた。目の前は緑か、はたまた青か、全くどちらかわからない色で埋め尽くされている。咲希は光のせいで視力が使い物にならないが、だんだんと体が上昇していることはなんとなくわかった。まるで靴を履いてないかのように先の足裏に伝わる冷たい風で、きっと今落ちたら死体の跡形も無く粉々になるほどの高さにいるのは安易に想像できた。途端咲希は気絶した。咲希は高所恐怖症なのだ。
咲希は目が覚めるとやけに近未来的な部屋にいた。壁は全て銀色の鉄のようなものでできている。入口だと思われる場所には鉄格子がかかっていた。非常に悪趣味だと咲希は感じた。咲希の服は、体が浮遊したときに着ていた制服のままだった。ポケットに入れた両親の残した紙もそのまま入っていた。咲希は安堵した。咲希が横を見ると、錆びて色が落ち、形が奇妙に変形した自転車があった。
「やぁ、地球人のお嬢さん。ぐっすり眠れましたか?」
突然入口だと思われる鉄格子が上下に開き、赤い肌をした人間?のような人物が機械音声のような声で咲希に問いかけながら咲希の前にやってきた。
「はぁ……おかげさまで…。」
咲希は下手に刺激しない方がいいと考えた。正直に言わせてもらおう。咲希は心底この得体のしれない知的生命体に恐怖している!赤い肌をして白色の機械的な服を着た生命体に目の前に立たれ、正確な日本語で話しかけられているこの状況に恐怖しない人はおそらくこの世に一人もいないだろう。
そのような咲希の状態を見て、謎の生命体は言った。
「言きなりですみません。私に着いてきていただけますか?」
「はぁ、わかりました…。」
「だいぶ恐怖しているようですね、お嬢さんとは別の生命体である私でさえもわかるほどです。あ、そういえば地球の常識では初対面の人には名乗らなければいけなかったですよね。すみませんすっかり忘れていました。私はお嬢さんの言語風に言うと、ガリレといいます。私はお嬢さんのことを同情的にみており、何も危害を与えるつもりはありません。長い付き合いになると思うのでこれからよろしくお願いします。」
「はぁ、よろしくお願いします。」
「私のことはわかってもらえたようなので、それでは行きましょうか。」
咲希は無言で頷いたそして、ガリレ、という知的生命体につづいて牢屋のような部屋を出た。そして咲希は、廊下のような場所をしばらく歩いた。咲希が廊下ですれ違った者は、全員ガリレと同じように赤い肌に白の機械的な服を着ていた。しかし、微妙に一つ一つ違っている。兵士のように腰にレーザー銃のようなものをつけている者や、明らかに他のものから下に見られていそうな小汚い者もいた。謎の生命体も人間と同じように皆同じではないようだ。
「ここだ。」
そうして咲希がガリレに連れてこられた場所は、厳重に警備されている重苦しい空気が張り詰めている場所だった。
ガリレが兵士?の二人に何かを話すと、兵士は道を開けた。咲希がガリレと共に扉をくぐり、奥に進むと、行き止まりになった。どういうことかと咲希が不思議に思っていると、ガリレは壁に向かって手を伸ばした。何をしてるのかと咲希が思った途端、壁はウイーンと音をたてながら下へ消えていき、通路ができた。壁の奥は研究室のようになっていた。研究室の中は、大きな水槽の中に不思議な生物が浮いていたり、プロジェクターのようなもので映し出された映像の生き物が、急に映像から出てきて走り出したり、走り出したかと思ったらすぐに消えたり。もはやなんの役に立つのかもわからないようなものがたくさん置いてあった。
「司令官殿連れてきました。」
と、ガリレが目の前にいる金の帽子を被った者にいった。
「수досيكفيσήμε」
金帽子の生命体はわけのわからない奇妙な言葉で言った。咲希は恐怖し、少し後退りしてした。それに気づいたのか、ガリレが、
「司令官殿。地球の方がいらっしゃいますので、そちらに言葉を合わせていただけないでしょうか。」
と、金帽子に言った。
「あ、。んんあガリレ、これでいいか?」
「はい。ありがとうございます。」
この生命体は複数の言語を詳細に使い分けることができるのか、と咲希は少し驚いた。咲希が感心していると、金帽子は咲希をスッと強く睨みつけて言った。
「地球人のお嬢さん。少し話がある。」
こちら火星人、全地球人どもに告ぐ! 最上 @sinakun
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