ボーン文豪出版
リュウ
第1話 ボーン文豪出版
ネットで知り合った小説家希望の友だちから久しぶりに連絡があった。
最近のお互いの出来事を話し、小説についての情報交換をしていた。
パソコンに映し出された友だちから訊かれた。
「お前さ、ペンネーム、かえた?」
「かえてない、何?」
「お前の文章にそっくりな小説見つけたんだよね」
「マジ」
「見てみ」
友だちは、その小説が載っていたという”ボーン文豪出版”のサイトを教えてくれた。
僕は、早速そのサイトに行き、”AIは敵か味方か”という小説を検索した。
その小説を読んでみた。
なるほど、確かに僕の文章に確かに似ている。
自分で気づかない文書の癖みたいのが現れていた。
驚いたことにこの小説は、驚くことに今まさに僕が作成中の小説とそっくりだった。
”パクられてる?”
咄嗟にそう考えてしまったが、この作品はまだ投稿していない。
偶然か。
この作者にメールを入れてみた。
<そう言ったことには、関わりたくないんだ。
言いたいことがあるのならリボーン出版に聞いてよ>
との事だった。
僕は、ボーン文豪出版のサイトに書かれている住所を訪ねることにした。
そこは、古臭いアパートだった。
”ボーン文豪出版と段ボールに書かれた看板が張ってあった。
呼び鈴を押す。
「はい」と低いドスの利いた男の声だった。
「ボーン文豪出版ですか?お話したいことがあるのですが」
鍵の開く音がして、扉が開いた。
「中へ」
見るからにヤバそうな男が戸を開けた。
機械的なモーター音が聞こえる。
入口の直ぐそばにソファとテーブルが置かれていた。
ヤバそうな男が座るように促す。
僕は、キョロキョロと部屋の中を伺いゆっくりと座った。
男は、部屋の奥に置かれているパソコンに向かって、社長と声を掛けた。
パソコンのディスプレイから、顔が覗いた。
小学生くらいの子どもで、名探偵コナンのようだなと思った。
「社長さん?」僕は思わず呟く。
「そう、僕が社長」
ムッとした顔でこちらを睨むと吐き捨てるように言った。
僕は思わず、ヤバそうな男の顔を見た。
「悪いけど、僕は忙しいんだ。仕事しながらでいい」
「早速だけど要件は何ですか?」
彼は、キーボードを叩きながら、こちらを見ていない。
僕の作品にそっくりな作家に問い合わせたところ、ここに連絡するようにと言われた。
「分かった。あのメールの人ね。メールを打ったのは僕。
僕は作家もやってるんだ。
正確には、作品を発表しているだけで作品は造らないよ」
「発表しているだけ?」
「僕は、発表すれだけ、造るのは生成AIってヤツ。
今は、三桁のAI作家が作ってる。
貴方はその中の一つと被ったってコトですよ」
奥の部屋を戸を開けると、机上に多数のスマホが並んでいた。
キーボードを叩く音は止まらない。
「何も問題はないはずですけど」
「同じことを考える人は沢山いるのですよ
あなたの考えることは、誰かも考えている
世の中に出したもん勝ちなんですよ」
「世の中の発明品だって同じですよ
先に出した者が称賛され富を手に入れた。
それだけですよ」
「僕は忙しいんですよ」
「出版業と作家を兼ねているのでね」
スマホが並んでいた
これ一つ一つが作家です。
生成AIってヤツですよ
ある作家に焦点を当てる。
データを集めるんですよ
作品はもちろん、インタービューやら全部
データ収集はこいつらが得意じゃないですか」
「えーと、これですかね」
「有名なのは、バレるからやりません」
「人気が出できたのを狙うんですよ」
「全てコイツが学習します。そんで、その作家がこれから何を題材に作品を書こうとしているかわかったたら、コイツにかかせるんですよ
文も発想もそっくりのが出来上がる
直ぐに、発表する」
「このスピードに勝てませんよ。数分で出来上がるんですよ」
さっきも言ったように、世の中に先に出したモンかちなんです」
「何が忙しいかって、それはこの仕事にはすぐライバルが現れるはずです」
より速く世の中に出す。同じものを発見したら著作権侵害で訴えるですよ」
「わかったら、帰った帰った」
とヤバそうな男に背中を押され部屋から出された。
僕には、返す言葉が見つからなかった。
AIに勝てるのか……。
ボーン文豪出版 リュウ @ryu_labo
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