第20話 キミの距離感バグですか?
「コールって結構遠い?」
「いや、国境までは丸1日程度だ。その後一番近い街まで一日かかる。」
ほほう。ライハが小さいって聞いてたけれど、徒歩で国境越えられるって不思議な気分だなぁ。不法入国とかにならない?感覚的には県境でいいのかな。
「隣国…コールはライハと国色が大分違う。ライハから出てしまえば、他国にいる大聖女を強制的にライハへ呼ぶことは出来ないからな。ゆっくり休めるだろう。」
「ほぉん。」
大聖女って教会派閥だから国に縛られないって聞いたけれど、誰の管轄なのかな?あ、アルたん管轄か。緩く繋がれたままのお手々を引かれて、巨木の根を登るINもの◯け姫な森の中。
「試される大地…ッ!」
「楽しそうだな?」
「コダマ出てきそう!」
サスラたんが仲間になってダンジョンを抜けたらそこは森でした。ダンジョンって入ったところから出るのかと思ってたけど、入口と出口が別なのもあるんだね!鎮守の森のようなもの◯け姫ニュアンスな森に圧倒されて五分くらい立ち尽くしたぜ!
「酸素美味しい…」
森特有の青臭さと一緒に嗅いだことのない花や植物の甘い香りだったり、爽やかな何かの匂いが一緒に運ばれて来る。風なんて吹いていない気がするけど、私がわからないだけで空気が回ってる。
「まさに風の通り道!」
思わず鼻唄も歌っちゃうぜ!なんでか私の頭上に陣取ってるサスラたんがぽいんぽいん跳ねてて可愛いね!
「びゃッ!?な、なんだね突然…ッ!」
スキップ混じりに探索開始しようとしたら後ろに引っ張られたでござる。コロリと頭上から転がり落ちたサスラは、その場で草をしゅわしゅわ溶かしてて…食べてる?で、ゼロさんは私の背後霊にでもなりたいのかい?なぁぜ私を抱え込んでるんでぃす?
「…いや、あまりに普段通りだからな?」
「な?って言われましても…?」
私の背中とゼロさんのお腹が仲良しな所為でふり返れない。取り敢えずお腹に回ってるゼロさんの腕を押して解放要求してみるけど、うんともすんともしないんだぜ。くっ、なにがしたいかわからぬ!トト◯が私を呼んでるというのに!
「はーなーしーて!私は探検す…ッ?!」
べちべち丸太みたいな腕をドラム代わりにしていたら、パッと釈放されて。くるっと身体が回されたと思ったら、目の前に青。
「ッんぅ…、…ッ、」
人間、驚きすぎると声も出ないって本当なんだね。ちょっとざらつくゼロさんの唇が、私の唇に重なって塞がれてるから余計に。
「ハ…、あぁ、よかった。無かったことにされたのかと思った。」
確かめるようにベロ、と私の唇を舐めて離れていったゼロさんがご機嫌よろしく笑ってらっしゃる。
「…っなん、なにするんじゃいッ!」
「恋人に口付けただけだ。なにか問題があるのか?」
いけしゃあしゃあとぬかしながら、ジリジリ顔を近づけてくるゼロさんの青い目に赤が映っていて。よく見なくてもそれが赤面してる私だってわかるくらいに顔が近い。問題もなにも、驚きすぎて威嚇するのは野生の本能だから!
「今そんな雰囲気だったかな?!楽しい探検!的な純粋タイムじゃなかったかい?!」
「付き合いたての恋人同士も純粋だろう。」
「人の腰を撫でながら言う台詞じゃないからね!」
ぺシーン!と森に木霊する勢いで腰に回されてる腕を叩く。なんでこんなに押せ押せなんだこの人!話してる間も顎クイしてる手に唇ぷにぷにされてて、喋り辛いし恥ずかしいんですけども!噛むぞ!
「…ちゃんとわかってるか?」
「な、なにを?」
ふ、と不安とも訝しげともとれる表情で見つめられて、謎の罪悪感に見舞われる。
「リン。」
「ッは…い、」
「リン?」
「なっ、なんだね?!」
確認するように名前を呼ばれて、まだ慣れない呼称に身構えてしまう。いや、だって…ッ!目の前のイケメンがバリトンボイスで自分の名前呼んでくるとか、実質ファンサじゃん…ッ!こちとらついさっき自分の気持ちを整理して、なかっことにしようとしていたのにちゅうされて
「…嫌だったか?」
「へっ?」
「無理強いするつもりはない…勿論、お前が俺を受け入れてくれるなら、それが一番良いが。」
しょんぼり。って背後にデカデカと主張しながら落ち込んでいるゼロさんに、突っ込むべきか悩む。あのね、言ってることは殊勝だけれどね?未だにガッツリ腰を掴まれてるしほっぺ撫でられてるし、親指で人の唇もちもちしてるじゃん?せめてその、『絶対逃がさないからな』みたいな目をやめようよ。隠す気ある?肉食獣か。
「ええと、あの、とりあえずね?嫌ではない…ん、ですが、その…ッ、もうちょっと待って…」
ひぇえッ、恥ずかし…ッ!やられていることを客観的に見る分には何ともないけれど、目の前の男が自分に対してこういう行動をとっていると思うと途端に頭が働かなくなる。羞恥で。
いやだって、ゼロさんルックス花丸経歴花丸で声も良い。俗にいう超優良物件だよ?!老若男女を選びたい放題選り取り見取りなのに、なんで私をチョイスした?!こちとらルックス平均顔面平凡三十路オタク様だぞ!
「嫌ではないんだな?」
「ぅ、ぐ、…は、恥ずかしい、ので!慣れるまで待って頂きたい…です、」
穴掘って埋まるどころか爆発四散しそうな私の、一挙手一投足も見逃さないつもりなのか…雰囲気だけしょんぼりさせたままむっちゃ見られてて余計に恥ずかしい。やめてクレメンス…私のライフはもうゼロよ…っ!
「…可愛い、」
「ッ、も、ものずき!」
「そうか?」
「んッ、っんぅ、ちょっ、待ってって言った!まってっていったぁ!」
込み上げる恥ずかしさを我慢して物申したのに、聞こえませんねぇ?とでも云いたげにそ知らぬ顔でキスされて、思わず叫ぶ。それすら愉しそうなゼロさんの追撃を躱すために口を押さえて隠すのは、自意識過剰なんかじゃない。こやつ、隙あらばキスしてくるぞ!
「そんな顔をされるとな…、」
「人の顔に文句つけるのよくないと思います!」
「いやむしろ好みだ。」
「びゃっ?!き、そんなことは聞いてませんッ!」
なに口走ってるんだ!?と言うか人の話し聞いてたかい?!
「慣れるまで待ってってば!」
「ああ。だから、慣れろ。」
「…?あっ、なっ、なんっ!」
一瞬、言われた言葉がわからなくて固まった私の手に、ちゅ、とキスしてきたゼロさんの口が手の甲に触れたまま話されて、直ぐ理解した。
「お、俺様かッ!」
私が慣れるために距離をとるんじゃなくて、俺の行動に慣れろ。ってことでしょコレッ?!なんて奴だッ!
「強い刺激に慣れた方が後々楽だろう?」
「スパルタ方式よくない!ゆとり教育推進委員会!」
「安心しろ。これくらい普通だ。」
「ウソだッ!」
君が浮かれポンチなテンションなのはわかってるんだからな!甘い目でみてくるの止めて貰えませんかねぇッ!
「…流石に、そんなに嫌がられると傷付く。」
「ッい、嫌なんじゃなくて、恥ずかしいんだってばッ、」
試すようにじっと見つめてくるゼロさんに、『貴方にキスされるのは好き』って、言わされてる。言わされているのをわかってはいるけれど、嘘を付くのは違うと思うし…実際嫌ではなくて、ううッ、だって甘やかされてる自覚があるし大事にされてた覚えもあるんだもん好きにならないほうが無理でしょ!
「もぉおッ!」
絶対わざとじゃないか!私が君の言いたいことをわかってて返事をしてるってことを、君が解ってる。だから
「そんなにからかうのが楽しいなら、一人で遊んでればッ!」
「待て、悪かった、」
「知らないもんゼロさんのバーカ!」
「リン」
羞恥心メーターがあるなら、きっと頂点を超えて爆発してる。恥ずかしすぎて出てた涙を拭くと代わりに拗ねてますメーターが出現して、大人気ない気もしたけれど…よく考えたら五歳年上のゼロさんの方が大人気ないからそのまま拗ねることにした。
「離して」
「悪かった。もうしない。」
「は・な・し・て」
「…わかった。」
ふーんだ。ゼロさんのもうしないが私の中のもうしないと違うのはわかってるぞ。たぶん、今後同じことはしない。じゃなくて、今日はもうしないなんだ。
「うんしょ、ふんっ!」
解放されたから距離をとって、ゼロさんの目線よりちょっと高い足場に立って仁王立ちでふんぞり返る。追い詰められると逃げたくなるのは、相手が肉食獣だからだもん仕方ないよね!でも主導権は我にあり!
「まったくまったく!反省したまえよ!」
なんたって上司様だからね!忘れてるかもしれないけど、私は大聖女で君は大聖女の騎士なのだから私が上なのだ!そこのとこわかっているのかね?んん?
「ああ、反省している。」
ふんすふんすしてたら柔く微笑まれた。ううっ、いい歳こいた大人が見苦しく拗ねてるんだよ?現実見たまえよ止めて甘い目で見てこないで顔に出さないで被弾するからッ!ほんと物好きだねっ!
「そっちに行くと迷子になるぞ?」
「わっ、」
ひょい、と持ち上げられてそのまま抱えられた。何か言う前にゼロさんを登ってきたサスラが私の腕に収まって落ち着いてしまって、
「おぉん…、」
「ふ、…っ、」
「いや別に笑ってくれて構わないよ…」
下ろして貰いたいけど、サスラを抱えたままこの樹海を歩ける気がしない。さっきまではサスラが頭の上にいて両手が自由だったからなんとかなってたんだもの。ゼロさんは勝手知ったる感じでヒョイヒョイ進んでますけどね。平面歩いてるくらいの感覚で。
「体幹鬼過ぎません?成人女性抱えたまま、足場が悪いってデバフで息上がらないんです?」
「…リンのいた所には、軍はないのか?」
なんで軍?突然の質問に首が傾いちゃうんですが、とりあえず
「軍はないですね。」
「そうか…、行軍時に足場の悪い場所と言われるのはここよりももっと酷い。ここはまだ歩きやすいな。それから甲冑や武器の重量もある。訓練時に負傷を想定して味方を担いで走り込みもする。」
「おっふ…、え、たしかゼロさん身長188cmでしたっけ?大きい方ですよね?」
「多少な。」
そっかこの人騎士団の人でしたわ。お顔見上げてばっかりだし見慣れてきてたけれど、実用性筋肉マンだもんね。身体の厚みがバグってらっしゃる。腕とか丸太だし。
「んー、じゃあ平均180cmとして、戦闘用とかはわからないから筋肉質男性ってことで体重80-90㎏かな?西洋甲冑が軽いので6㎏だけどゼロさんのって重かったからざっくり20-25㎏位?…え、100㎏超えるんですが?」
私とサスラを抱えたまま、涼しい顔で足取り軽く歩いてるゼロさんを思わず凝視なう。綺麗な顔だろ?熊なんだぜ。
「そうだな。身体強化をかければ三人以上積み上げて担ぐときもある。」
「ひぇッ、」
衝撃、走る。ビックリして変な声でたわ。最低100㎏を三人?!この世界の人間って人間卒業しとるやないかどうなってるんだ。
「リンは軽すぎて心配になる…。」
「わぁ、表情がガチだぁ…。」
そういえば前にゼロさんに片手で持ち上げられたことあったね…。そりゃあ300㎏持てるなら私なんぞ軽かろうよ。なっとく。
「ご心配頂かなくとも、前にも言いましたが私は私の国の平均値だよ…。別に痩せすぎじゃないから安心して。」
太りすぎでもない!と重要部分も主張しときますね。そもそもこの世界女の人の平均身長170cm近いじゃん?そんでもってボンッキュッボーン!の不二子ちゃんバティがゴロゴロいらっしゃる。おっぱいってね、夢がつまってる分重いんだよ…。
「いっそこのまま希少価値高めていこうかな!」
貧乳はステータスだ!って胸を張れたらよかったけど、異世界転移して平均上から平均以下に叩き落とされた複雑な
「もしくは身長伸ばせる魔法とかない?」
夢を叶えてドラ◯もん。魔法がある世界にくるとなんでもありな夢を見ちゃうよね!理想の姿になれる魔法とかないかな。
「そんなものはないし、リンはそのままがいい。」
「そっかぁ。でもワンチャン伸びたり「そのままがいい。」
立ち止まって、念押しのようにそのままがいい。と真剣な顔で言われて、イタズラ心がムズムズわいてくる。
「…え、ゼロさん幼女趣味?小さい
「お前な…誰が幼女趣味だ。お前は成人しているだろうが。」
「私の外見が幼いらしいからね!」
散々周りから言われた言葉を逆手にとって、そ知らぬ顔をしてみるテスト。でも実際、西洋人と東洋人位の差だ。平均より背も発育も小さいし顔も幼い。
「共に過ごしていれば、お前が大人なのはすぐわかる。」
「え、老けてるってこと?」
「違ッ!なんでそうなるんだ…!」
そういう意味じゃないとはわかってるけど、あからさまにしょんぼりしてみる。途端にゼロさんが慌て出して、反射的に吹き出してしまった。くそう、もう少しからかうつもりだったのに。
「あはっ!ごめ、…っふふ、さっきからかわれた仕返しじゃ!」
ぽかん顔のゼロさんに笑って、ドヤ顔してやったぜ。ふふーん、やられたらやり返すのだ!勝ち誇る私にゼロさんが嬉しそうに笑って。え、なにその顔はじめてみたんですけど?怪しくなってきた雲行きにびくついていたら、するっと耳を撫でられて唇に噛み付かれた。
「むッ、んぅ、」
「…生意気で、本当に可愛いな、お前は」
全部の青をどろどろに溶かしたみたいな瞳に捕まって、息がつまる。
「んッ、はぁ…ッ、ンむ、ッ!」
なん、なんて事言うんですか!抗議しようとした声も言葉も塞がれたまま重なった唇が『好きだ』って音も無く形作られて、頭が真っ白になって、ぼぁっと自分の顔が熱くなったのがわかった。
「ひぅッ、ーーせいッ!」
「ぶっ!」
ゼロさんの顔面にサスラを叩き付けて逃走なう!腕から百点満点の着地を決めて、心の距離分ゼロさんから離れる。抱えてたサスラには申し訳ないけども、このままでは刺激が強すぎて殺されるからッ!ありがとう防衛本能!
うう、やられたからやり返したのに倍返しにされた…っ
「どんな経験したらそんなことするようになるんですか殺す気かッ!」
「ッフ、ハハハッ」
ぱいんぽいん跳ねて戻ってきたサスラを抱えて赤いだろう顔のまま叫ぶ私に、ゼロさんがご機嫌に笑ってて悔しみが増してゆく。
「むぐぐっ、」
心底可笑しそうに笑うゼロさんに、覚えておれ!と思うけどやり返す算段が飛鳥文化アタックくらいしか思い付かなくて、口がへの字のまま黙るしかなかった。圧倒的経験値不足…ッ!いいもん私にはサスラたんと言う味方がいるもんね!ゼロさんなんかウルトラぼっちになればいいんだ。
ダンジョンから隣国コールへの道は一つなのか、よく見なくても踏み固められた山道が出来てるし、さっさとその上を進む。
「リン、」
絶対、何の用もなく呼んでくるゼロさんを無視して進む。顔見てないからわからないけど、絶対笑ってるもん。またからかわれたら悔しいからね!魔物がいたらもっと強く呼ばれると思うし、道が違うならそれも言ってくるでしょ。
「リン、悪かった。」
コンパスの差がえげつなさ過ぎて、あっという間に隣に並ばれたけれど知らないもんね。どうせ私の恋愛経験値なんてピースフルに毛が生えた程度のノーマルですし?ゼロさんなんかモテモテナイトメアとかアダルトルナティックとかなんでしょ対応できるか。
「リン。」
別に戦ってるわけでも勝ち負けがあるわけでもないけどさ?こんな風に全力で好きって言われることを私は経験したことなくて。どうしていいかわからなくて困るのと、嬉しいのと、恥ずかしいのとごちゃごちゃになって逃げ出したくなるんだ。不安、とか、そういうのに近いような…
「リン。」
だって、手に入れた幸せが無くなったら堪えられなくなるから。みんな傷から自分を守るために、無意識にそれをセーブしてるものでしょ?
「…ッリン、」
「わっ、」
…この人は何回私を抱えれば気が済むんだろう。犬猫じゃないんじゃよ?思わず出たため息に、ゼロさんの肩が跳ねたのが見えて、
「えっ、どうしたの?」
なんかめっちゃ落ち込んでるゼロさんと目があった。何事?
「…すまん、悪かった。」
「うん?…あ、はい。」
なんで謝罪されてるんだろうか。本当にどうしたんだい?
「怒ってるか?」
「え、なにに?」
「ーーッその、」
不安そうに彷徨っている青色が、私を窺うように見上げてきて、
「嫌われた、だろうか…」
「……、」
大変だ、何か知らないけどゼロさんがめっちゃ泣きそうになってる。まって私成人男性の泣き止ませ方とか知らないよ?!そんな知識ないよ?!驚きすぎて硬直してたらゼロさんの顔色が死にそうになってて、
「浮かれて調子に乗りすぎた。すまなかった…反省している。許してほしい…。」
「んぇっ!?ぁばばば、も、もちつけ!お、怒ってない!そもそも怒ってない!」
思考がとっ散らかって何の話だね?状態だったけど、そういえば拗ねてたわ私!と思い出して全力で主張する。
「しかし、」
最初のなんちゃってしょんぼりとは明らかに差のある、ガチ凹みしてるゼロさんに今度は私が右往左往する番で。
「悔しかっただけ!飛鳥文化アタックしてやるからなとか思う程度に反骨精神に富んでおります!」
もう工工エエェェ((゜д゜; ))ェェエエ工工である。わ私に嫌われたと思ってそんなに凹んでるの?!MAZIKA
「あのっ、考え事してて、だから…ッ、」
なん、なんか落ち込んでるゼロさんに熊耳的な幻覚が見える…ッ!お、落ち着け、落ち着くんだクールクールクール。
「すっ…好き、なので…ッ、ご心配無く!ねッ!うぅう、早くコール行こうよサスラたん従魔にするんだからッ!」
でも距離は取ってほしいソーシャルディスタンス大事!いきなりこんなに甘々攻撃されると身が持たないんじゃよ、警戒しちゃって威嚇しちゃうんだよわかるかね?わからなくても忖度して。
「マ゜ッ」
あっぷあっぷな私を見て数回瞬きしたゼロさんが、安心した。って顔で笑ってて変な声でた。そんなふにゃふにゃな顔で私をみるんじゃない心臓止まる。
「リン」
振り回されてる気がするけど、そのうち落ち着くかな。このむずむずする感じが当たり前になるのかな?付き合い立てってポンコツになるしね!今は黒歴史量産タイム確定だから、将来思い出して悶絶死しないように距離をとろうよ。永遠なんて信じる純粋なお年頃は終わったのだから、さよならがあっても綺麗さっぱり別れられるのが大人だから、
「リン」
だから、
「好きだ。」
「ぅううッ」
私のゼロさんに対する思いが、君の好きと同じになったら…それは私の中で愛してるって奴になってしまうよ?
「っちょっと、まってて…」
固定観念ぶち破られて、大人が恥ずかしげもなく愛なんか囁いて、君と同じ場所まで登るまで。待ってて。
三十路共の戯れ おもちのかたまり @omothi_no_katamari
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