結論 まずは最初の話を読まれるために

 結話 それでは如何に為すべきか

 『カクヨム』に初めて作品を投稿し始めた頃、あっという間にバズって、PVは数万、星は数千に達し、とんとん拍子に書籍化・アニメ化、実際に、そんな作品が実在するらしいし、自分だってワンチャン……。


「そんなふうに考えていた時期が俺にもありました」


 しかし、これは妄想以外の何物でもなく、何もしなければ、無星どころか、PVが一つも付かず、ハート・ブレイクというのは普通にあり得る事態なのです。


 ここまで、「週間ランキング」のみを資料にして分析・解釈を試みた結果として言い得る事は、登録者であれ未登録者であれ、読み手からの最初の一歩目の反応として、第一話目を読んでもらう為には、ランキング表に表示される作品の〈看板〉である、三十五文字以内のキャッチコピーと、三十九文字以内の作品タイトルにおいて、例えば、「ダンジョン」「配信」「異世界」「Vtuber」「TS」「ゲーム」「魔」「スキル」といった、流行りのパワー・ワードを用いて、読者に対してアピールする事が〈ひとつの冴えたやり方〉であるようです。


 そして、第二話目以降も読んでもらい、さらに、話の評価の「ハート」や、作品評価の「星」の付与にまで至る為には、〈更新〉し続ける事が重要なのは、ランキング表全体において「★0」が占める割合の多さを確認した際に推察した通りです。


 このうち、最新話の更新の継続は、未完結作品ならば、誰にでも採り得る戦略なのですが、これに対して、問題となるのはトレンド・ワードの使用に関してです。


 カクヨムに二つある、「異世界ファンタジー」と「現代ファンタジー」というファンタジー・ジャンルのうち、此処ではない何処かを物語の舞台にしたものが〈異世界〉もの、これに対して、現実世界やそれと地続きである世界を背景にしたものが〈現代〉もの、そして、異世界であれ現実世界であれ、そうした世界を舞台背景にしつつ、何らかの不可思議な物語が展開するのが、いわゆる〈ファンタジー〉と定義付けられるでしょう。

 それゆえに、現実世界において存在しない「ダンジョン」が突如出現しなくても、作中人物が、「異世界」から帰ってこなくても、「ゲーム」世界に入らなくても、あるいは、「魔法」や「スキル」といった特殊能力を使わなくても、現実世界を舞台にして非現実な出来事が起こりさえすれば、それは「現代ファンタジー」である次第なのです。


 たしかに、トップ百位以内の約八割の作品においては、ここまで見てきたトレンド・ワードのいずれかが使われ、すなわち、これらが、二〇二四年初頭現在における流行りになっている分けなのですが、そうしたパワー・ワードが無い現代ファンタジーだって当然存在し得ます。


 かくゆう書き手が、今回のカクヨムコン9の「現代ファンタジー」部門に投稿した作品におけるキャッチコピーは、「日本神話×釣り×中三女子:〈ま〉界に召喚された乙女等による神の代理競釣」、作品タイトルは『召喚乙女の〈釣之巫女〉争奪勝ち抜き〈競釣〉』で、物語内容的に、キャッチーなワードを用いる余地は全くありませんでした。

 したがって、書き手の作品の〈看板〉は、今の『カクヨム』の「現代ファンタジー」における読み手一般に対しては、何らアピールできていなかった分けなのです。


 すなわち、書き手の作品のような、トレンディなワードを使いようのない作品は、何もしなければ読み手からの反応を受けられるべくもなく、それゆえに考えるべきは、こうした流行に乗っかっていない作品を、一人でも多くの読み手に読んでもらうには如何にすべきか、という事なのです。


 『カクヨム』は、書き手が〈カク〉場であると同時に、読み手が〈ヨム〉場でもあります。

 他者から読んでもらいたいのならば、読み手として自分も他の書き手の作品を読む、結局は、これに尽きる分けで、平凡ながら、次の言葉で、この〈カクヨム論〉を締める事にいたします。



  先づ〈読〉より始めよ

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週間ランキングからみたカクヨムロン~現代ファンタジー篇~ 隠井 迅 @kraijean

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