少年たちの未熟な正義のもたらしたもの

「虐待死したりするような不幸な子供を産まないためにも親になるのも免許制にすべき」

これは昨今のネットでもちょくちょく見かける、一見すると他所の不幸な子供を憐れむ第三者の「正義」として扱われる言葉です。

しかし、これは「親として不適格と見做した人間には周囲がいくら断罪しても構わない」という残酷さを孕んでいます。

本作の語り手である「俺」と親友の「お前」もかつてはそうした「正義」に疑問を持たない少年でした。

しかし、雪の日に出会った若い母親に彼らが「正義」の側として投げつけた言葉は結果として全員にとって不幸な事態を招きました。

「正義」の正しさや弱者にとって本当に必要な対応を考えさせられる作品です。