第13話
「レーゼ、リリアン、下がりなさい。これから先は私とリョータ様だけで行う。」
なにやら、大切な話があるようだ。カルムさんは険しい顔をして話し始めた。
「あなたには、アリナ様と結婚するため、貴族のマナーを身につけてもらいます。先程の彼女達はあなたのことを知っていましたが、これから会う貴族は、あなたが元平民ということを知りません。あなたが無礼な行為をなさると、伯爵家の評判が傷つきます。ですので、いまからあなたには、元平民ということを無視して対応していきます。」
つまり、元平民だから仕方ない、と言って甘やかしてもらえるわけではない、ということか。大変そうだが、頑張るしか方法はない。
「わかりました。以後、気をつけます。今後ともよろしくお願いいたします。」
挨拶をして、この場を去ろうとすると、扉が急にバン!と音を立てて開いた。
「お前がアリナの婚約者に相応しいか俺が見定めてやる。中庭へ来い!」
誰だ?と思って話を聞くと、例のシスコンだと分かった。
なんでこうも問題ばかり起きてしまうんだよ。
脳内で愚痴りながら中庭へ向かうと、義兄が俺の方へよってきた。
「さあ、始めるぞ。騎士団へ戻るための対人の肩慣らしとなってくれ。」
は?肩慣らしって舐められすぎじゃないか?初期ステータスはかなり高いんだが、相手はそれを軽く超えるくらいのステータスを持っているのか?
「せーーい!」ドゴォォン!
なんだいまの。咄嗟に避けていなかったら消し炭になってたぞ?いまのは爆破属性という火と土属性の合成属性なのだが、剣にその魔法が連動していたぞ?
「すごいですね。驚きましたよ。」
もちろん本心だ。しかし、相手は挑発と受け取ったらしく、さけんできた。
「なんで避けれるんだよ!」
『ウォータージェット』
水属性魔法で応戦するが、まるで未来が見えてるみたいに反応して避けられてしまった。
「今のは危なかったな。だが、効かん!」
何発か攻撃してみるが、避けられてしまう。
本当に未来がわかるんじゃないか?
相手のスキルが未来予知の類だと仮定して、それなら、避けれない攻撃をすればいい!
「『ウォータージェット』リピート×5!」
囲むように攻撃すれば、不可避のはずだ。
「ごめんが、それも見えている。」
やはり、予知系のスキルのようだ。発動範囲に入らず、不発に終わってしまった。
「ここまでだ。」後ろで声がしたかと思うと、俺の意識は闇の中に引き摺り込まれた。
せっかく転生したのに余命1年だった件 @kesuuso
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