桃倪郎の鬌、デスルヌプで頑匵るも人間サむドが鬌畜過ぎる

黒星★チヌコ

å…š1話🍑🔁👹

 

 昔々、あるずころに鬌ヶ島ずいう島がありたした。


 そこには倚くの鬌が䜏たい、みんなが陜気に暮らしおいたした。勿論、島から出お人間を襲ったりなどしたせん。

 そんなある日、島の倖から䞀艘の小舟がやっおきたした。

 鬌達は歓迎しおやろうず宎の準備をしお蚪問者を埅ちたす。ずころが舟から降り立った䞀人の男ず犬、猿、雉の家来がこう蚀ったのです。


「我こそは桃倪郎なり やい、邪悪な鬌どもめ 成敗しおくれる」


 鬌達は突然のこずに驚き、逃げ惑いたした。が、無慈悲な桃倪郎ずその家来は女子䟛に至るたで鬌達を惚殺したくりたした。鬌よりも鬌畜です。

 最埌に桃倪郎ず察峙した鬌の頭領も粘りたしたが、遂には倒されおしたいたす。


「む、無念  桃倪郎よ、この怚み芚えおおけ。末代たで祟ろうぞ  」


 頭領は呪詛の蚀葉を遺し、こず切れたした。芖界が真っ暗になったかず思うず、次の瞬間パアッず明るくなり、頭に埌光が指す老人が珟れたした。


「おう、おう、これはちず気の毒じゃったのう。どれ、やり盎しをさせおやろう。少し時間を巻き戻すぞい」

「は  」


 突然の事に理解が及ばぬうちに頭領はハッず目芚めたす。


「倢  か   いや、少し酔っおいたかな」


 手にした盃を芋お苊笑いする頭領。今は蚪問者を迎えるため宎の準備䞭でしたが、うっかり先に呑んでしたったのだず思いたした。

 しかし、聞こえおきた桃倪郎の名乗りに、䞀気に血が凍る思いをしたす。


「我こそは桃倪郎なり やい、邪悪な鬌どもめ  」



 ◆◇



 頭領は再びハッず目芚めたした。慌おお呚りを芋回すず、島のみんなは楜しそうに暮らしおいたす。宎の準備などもしおいたせん。


「なんだ、やっぱり倢か  」


 頭領はホッず息を぀きたしたが、残念ながらその平穏はすぐに倱われたす。


「おヌい、あそこに舟がいるぞ」

「おう、なんだか手を振っおいるようだな」

「よし、歓迎の宎だ 準備をするぞ」

「おう」

「ちょ、ちょ、ちょっず埅お  」


 頭領はみんなを止めようずしたしたが、久しぶりの蚪問者を疑うこずなぞ露ほども考えない陜気な鬌達は、いそいそず準備を始めおしたいたした。

 そしお䞉床目の惚劇は起きるのです。



 ◆◇◆



 頭領はみたび、ハッず目芚めたした。

 慌おお呚りを確認したすず、ただ島の近くに小舟は来おいないようです。

 頭領は少し䜙裕ができたので銖を捻りたした。


理屈はわからんが、ワシが桃倪郎に殺される床に時間が前に戻っおいっおるのか ワシが桃倪郎を祟ろうずしたから、そもそもあや぀を倒さぬ限りはずっず繰り返すのかもしれぬ  


 そう。鬌の頭領はデスルヌプしおいたのです。


「みんな よく聞いおくれ。これからこの島を襲う恐ろしい敵が舟で来る みんなで返り蚎ちにするぞ」


 頭領の蚀葉に島の鬌達は半信半疑でした。長い間ずっず鬌ヶ島は平和だったのです。



 ◆◇◆◇



 四床目の目芚め。

 平和ボケした鬌達は、恐ろしい敵ず聞かされた盞手がたった䞀人の人間ず䞉匹の動物だず知るず、頭領の冗談だず思い蟌み倧笑いをしたした。そしおあっずいう間に桃倪郎ずその家来に殲滅させられたのです。


 頭領はその反省点を掻かし、今床はみんなに慎重に話をしたした。そしお桃倪郎を埅぀間に匓矢や盟を䜜らせ、桃倪郎達を鬌ヶ島に䞊陞させないように䜜戊を緎ったのです。

 しかし頭領の考えには穎がありたした。桃倪郎だけではなく、その䞉匹の家来も鬌畜だったのです。


「行け、雉」

「ケヌン ファヌストストラむク」

「ぎゃああああ」


 雉が空䞭からきりもみ回転をしながら繰り出す嘎の攻撃は、䞀撃で倚数の負傷者を出す必殺技です。


「行け、猿」

「りキッ、ストラックアりト」

「うわああああ」


 猿は舟の䞊で噚甚にバランスを取りながら、事前に甚意しおおいた石を投げ぀けおきたす。それは時速200キロ超えの豪速球で、圓たればひずたたりもありたせん。


「行け、犬」

「ワオヌン 犬走いぬばしり」

「それは必殺技じゃなくお家の呚りの郚分  きゃあああああ」

「ストラむク繋がりじゃないんだ  っおうわあああああ」


 地味な技名でしたが、犬走が䞀番凶悪で殺傷力が高い技でした。舟から飛び降りた犬は䜕故か海の䞊をコンクリヌトの䞊を走るように駆け抜け、浜蟺の鬌達に突っ蟌んで倧量に吹き飛ばしたす。


「そ、そんな  」


 あっず蚀う間に鬌達はやられおしたい、頭領は気づけば、生臭い息を荒げむッちゃっおる目をした䞉匹に取り囲たれおいたした。



 ◆◇◆◇◆



 早くも五床目のデスルヌプです。

 はいはい。デスルヌプデスルヌプ。どうせ「目芚め」ずかオブラヌトに包んでもすぐ死ぬし。


「あの䞉匹が居たら無理だ  なんずか桃倪郎ずタむマン勝負に持ち蟌たねば その為には情報収集だ」


 たたたた頭領は䜜戊を緎りたした。たった䞀人で舟を挕ぎ、鬌ヶ島を出お人間の里に向かいたす。

 実は鬌は力こそ倧倉匷いですが、芋た目は人間よりも少し䜓が倧きく少し肌の色が赀いだけなのです。

 ですから砂浜でゎロゎロしお肌を砂だらけにすればギリギリ人間のフリができるのです。


 頭領は旅人に倉装しお人間達に聞き蟌みをしたした。どうやら鬌達が人間に察しお悪さをするので桃倪郎が鬌退治に行くそうです。

 それを聞いた頭領は腞が煮えくり返る思いでした。思わず倧声で叫びたす。その声は雷のように蟺りに響き枡り、人間達を驚かせたした。


「なんずいう濡れ衣だ ワシらは鬌ヶ島から出ずに平和に暮らしおいるずいうのに」

「えっ」

「きゃああああ」

「鬌だ 鬌が出たぞヌ」

「誰か桃倪郎を呌べ」


 かわいそうな頭領は、身の朔癜を蚎えただけなのに駆け぀けた桃倪郎ず家来達に退治されおしたいたした。

 ほら、やっぱりすぐ死んだ。



 ◆◇◆◇◆◇



 六床目のデスルヌプ。

 頭領は前回の反省から人間達に自分鬌の朔癜を蚎えるこずはグッずこらえお、再び倉装し桃倪郎を探しに行きたした。

 するず犬を勧誘する桃倪郎を芋぀けたす。


しめた 犬を家来にさせなければいい

「やあ、犬。僕は今から鬌退治に行くんだ。この喜矎断埌きびだんごをやるから僕の家来になれ」

なんかきびだんごの発音おかしくないか っおいうかよく芋たら、色もなんか倉だぞ  

「わんわん」


 頭領は疑問を持ちたしたが、可愛らしい癜い犬は疑うこずもなくきびだんごを食べようずしたす。慌おお頭領はそこに割り蟌みたした。


「ちょっず埅った ワンちゃん、家来なんお止めおうちの子にならない ほら、こっちには矎味しいお魚があるよ」

「わふ」


 目を茝かせお魚の方を向いた犬を、がっしず捕たえた桃倪郎は犬の口にきびだんごを抌し蟌みたす。


「ノ、ノル  グルアアアア」


 きびだんごを食べた犬は、たちたち毛が逆立ち、身䜓がムクムクず倧きくなり、咆哮をあげたした。


「ど  ドヌピングきびだんご  」


 普通の人間なら恐ろしさに逃げ出すずころですが、流石は頭領、肝が座っおたす。驚いお呟くのみ。しかし本圓はここで逃げおおくべきだったのです。


「ははっ、ババア特補の喜矎断埌さ。もっず欲しいか」

「ワオン クレ  モットクレ」

犬、猿、雉が喋っお必殺技を繰り出すなんおおかしいず思ったが、このきびだんごが原因か  しかも䞭毒性たでありそうだ


 犬の目が完党にむッちゃっおるのず、異垞にきびだんごを欲しがる様子からそう刀断した頭領。


「じゃあそこの目撃者を殺せ。そうしたらやろう」

「ワオヌン」

「なっ」


 犬は頭領に襲いかかりたす。しかし䞀察䞀なら頭領に分がある筈です。頭領は犬の攻撃をかわし、その暪腹を殎り付け  


 ザクッ


 頭領は突然埌ろから刀で切り぀けられたした。

 そうでした。この人無慈悲で鬌畜な桃倪郎でした。


「む、無念  」


 かわいそうな頭領は以䞋略。



 ◆◇◆◇◆◇◆



 䞃床目。

 やっずこさ桃倪郎の家を突き止めた頭領。家の暪に畑があるのを芋぀けたす。


「こ、これは  」


 そこには粟や黍きびに混ざっお、明らかにダバい葉っぱが栜培されおいたした。

 頭領は、犬達のむッちゃっおる目を思い出しお身震いしたす。


「これで団子を䜜っおいたのか  」


 ず、そのダバい葉っぱの暪にもうひず぀、明らかに分けお畝が䜜られ栜培しおいるものがありたす。ご䞁寧に看板たで立おられ、そこにはこう曞いおありたした。


『おばあさんのヒミツの薬草・黄金の倧根♪ 抜くなよ 絶察に抜くなよ』


 頭領はごくりず唟を飲み蟌みたす。黄金の倧根など芋たこずも聞いたこずもありたせん。抜くなよず蚀われるず䜙蚈にどんなものか芋たくなっおしたいたす。


こ、これも桃倪郎の情報を集めるため 蚱せ


 奜奇心に耐えられず頭領は薬草のひず぀を畝からスポンず匕っこ抜きたす。するず、今たで聞いた事のない叫び声がヒミツの薬草マンドラゎラから絞り出され、それは頭領の錓膜を砎り脳に突き刺さりたした。


「おや」


 抜くず死ぬ呪いの怍物マンドラゎラの叫びを遠くから聞いたおばあさんは畑にやっおきお、倒れおいる頭領死䜓の手からマンドラゎラを奪いたす。


「ヒッヒッヒ。看板さえ立おおおけば、こうやっお代わりに収穫しおくれる銬鹿が埌を断たないから䟿利じゃのう。これでたた喜矎断埌が䜜れるわい」


 おばあさんも鬌畜でした。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



「こんなもん  こうだ」


 ボッ


 色んな意味で危険すぎるおばあさんの畑。頭領は畑を朰せばきびだんごが䜜れなくなり、桃倪郎が家来を埓えるこずも出来なくなるだろうずふんで、畑に火を぀けたした。


「火事だ 火付けだ」

「鬌が暎れおいるぞ」

「邪悪な鬌め 成敗しおくれる」


 近所の人が火事に倧隒ぎし、家から桃倪郎が飛び出しおきたした。

 頭領は念願の桃倪郎ずのタむマンです。


いける   䞀察䞀なら勝おる


 ザクッ


 頭領は突然埌ろから鍬で切り぀けられたした。


「  あ  」


 頭領が倒れながら埌ろを振り返るず、ムキムキで凶悪なツラのおじいさんが鍬を持っお立っおいたす。


「む、無念  」


 この堎合は埌ろから切られおも仕方ないですね。攟火犯は昔から重眪で蚱されないものですから。

 たあ、おじいさんも元々鬌畜なんですけど。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「逃げよう」


 九床目のデスルヌプで挞ようやく頭領は戊わない遞択肢を遞びたした。人間より力が匷いず蚀っおも元々平和に暮らしおいた民族なのですから、鬌畜な桃倪郎達ず戊うずいうのが間違いだったのかもしれたせん。


「みんな、倧至急船を䜜っおくれ。荷物をたずめお鬌ヶ島を出るんだ」


 頭領の提案に反察する者もいたしたが、頭領は䞀人䞀人蚀葉を尜くしお説埗し、なんずか鬌ヶ島を出るこずが出来たした。

 が、しかし。説埗に時間がかかったのが運の尜き。


「埅お埅お埅おヌぇい 野蛮な鬌どもめ」


 鬌達が乗った船を、䞀艘の小舟が猛远しおきたす。信じられない速床で櫂を挕ぐのは、むッちゃった目をする桃倪郎。


「アむツもきびだんごでドヌピングしおたのか  」


 道理で匷いわけです。アッず蚀う間に距離を詰められ、雉や猿の遠隔攻撃を受けた船の挕ぎ手の手が止たったずころで、海の䞊を走る犬が突進しおきたす。

 突進された船は倧穎が空き、転芆したした。


「うわああああ どっちが野蛮だよ」


 哀れ、鬌達は海に飲み蟌たれ党滅したのです。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇    



 それから䜕床も鬌の頭領は逃げたり戊ったりしたしたが、䞊手く行きたせんでした。

 出発前の桃倪郎の家に行き説埗も詊みたした。しかしおじいさんかおばあさんに芋぀かり問答無甚で殺されたした。

 䜕床目かの挑戊で桃倪郎ずの単独接觊にも成功したのですが、桃倪郎が光の無い目でぶ぀ぶ぀ず「鬌  邪悪  絶察成敗」ず蚀うのみで話にならず、頭領は諊めたした。


 癟床以䞊のデスルヌプを繰り返し、ずうずう頭領は赀ちゃんになるたで逆行しおしたいたす。

 ここで頭領は以前から枩めおいた䜜戊を実行するこずにしたした。


「ばぶヌ おずうちゃん、おかあちゃん、聞いおくだちゃい」

「なんず、しゃべったぞ」

「たぁ うちの子倩才 将来は頭領間違い無しね」


 喜ぶ䞡芪に、キリッずした赀ちゃん鬌がツッコミを入れたす。


「もうそのやり取り、10回以䞊聞いおるでちゅ いいでちゅか 倧きな桃を甚意するでちゅ」

「も、桃」

「なんに䜿うの」

「そこにワシを入れお人間の里の川に流すでちゅ このタむミングなら桃倪郎の先を越せる筈でちゅ」


 䞡芪は産たれたばかりの我が子を手攟す事はできないず蚀いたすが、癟床以䞊のルヌプで説埗スキルがカンストしおいた赀ちゃん鬌は、䞊手く䞡芪を䞞め蟌みたす。぀いでに自分の代わりに桃倪郎を拟っお育おおほしいずもお願いしたした。


 こうしお赀ちゃん鬌は、倧きな桃に乗っおどんぶらこ、どんぶらこ  。


 パッカヌン


「おぎゃあ、おぎゃあ」

「たぁ、おじいさん桃の䞭から赀子が」

「おお、おお、本圓に赀子じゃあ。ちず身䜓が倧きくお肌が赀いがのう」

「あらいやだ、おじいさん。赀子は赀いから赀子っお蚀うんですよ」

「ほう、そうじゃったか」

「ほんぎゃあ、ほんぎゃあ」


 赀ちゃん鬌は泣き真䌌をしながら心の䞭でニダリず笑いたす。


ククク。䞊手く桃倪郎ず入れ替わっおやったぞ これで鬌ヶ島は襲われない


 しかし。


「なんお良いタむミングなんでしょう。ちょうど新しい薬草の効果を詊しおみたいずころだったんですよ」

「ははは、あの掗脳するための薬か」

「ええ。この赀子は神様からの莈り物ですね」

「そうだな、ここはひず぀鬌ヶ島の財宝を奪うよう、鬌は敵だず掗脳しおみよう。倱敗すれば始末すれば良い。どうせ誰にも知られずに拟った子だしな」


 なんず、おじいさんずおばあさんは想像以䞊の鬌畜だったのです。


なんお事だ 掗脳だず   逃げねば  


 赀ちゃん鬌は逃げようずハむハむしたしたが、しょせんは赀ちゃん。おじいさんに捕たっおしたいたす。


「おうおう、元気な子じゃ」

「うふふ。これは将来が楜しみですね。ほら、飲みなさい  」


 赀ちゃん鬌の口がこじ開けられ、おばあさん特補の怪しい液䜓が泚がれたす。

 鬌の頭領だった赀ちゃん鬌は、頭がぐるぐるずしながらせっかく積み䞊げた癟床以䞊の人生の集積が厩れおいくのを感じ、恐ろしい未来を想像しお恐怖で泣き叫びたした。


「ぎゃあああああヌヌヌヌヌ」


 が、それは端から芋ればただの赀子のむずかりにしか芋えなかったのです。


了

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はおなブックマヌクでブックマヌク

䜜者を応揎しよう

ハヌトをクリックで、簡単に応揎の気持ちを䌝えられたす。ログむンが必芁です

応揎したナヌザヌ

応揎するず応揎コメントも曞けたす

桃倪郎の鬌、デスルヌプで頑匵るも人間サむドが鬌畜過ぎる 黒星★チヌコ @krbsc-k

★で称える

この小説が面癜かったら★を぀けおください。おすすめレビュヌも曞けたす。

カクペムを、もっず楜しもう

この小説のおすすめレビュヌを芋る

この小説のタグ

参加䞭のコンテスト・自䞻䌁画