入学準備
僕がたまたま助けただけの修道服に身を包んだ女性、マリアさんはかなり凄い人だったらしい。
いきなり告げた僕の我儘に対して、簡単に頷いてスラム生まれの二人を貴族しか普通は入れないと言われている学園に入れてくれるよう根回ししてくれた。
「見て見て、学園の制服だよっ!すっご!」
「確かに凄いわね。生地がしっかりとしているし可愛いわ。どう?似合っている?」
そればかりか、僕たち二人が入学する際に必要になってくるお金まで払ってくれた。本当に凄いお方やで。
「まさか、私たちの家に本が来るとは思わなかったわ」
「本当だね……というか、このぼろい家に本なんていう高価なものを置きたくないね」
「それは今更でしょう?貴方のグランドピアノが一番よ」
「……確かに」
僕はレーヌの言葉に頷く。
未だにグランドピアノは自室におきっぱである。
王城からかっぱらってきたこいつは圧倒的な高級品だろう。僕の手に及ぶことなどないほどの。
「今更か!」
「えぇ、今更よ。魔力を使えばいくらでも現状は変えられるしね」
「確かにっ!」
僕はレーヌの言葉に頷く。
確かにまったくもってその通りです。
「そんなことより心配するなら学園生活についてしなさいよ」
「えっ?なんで?」
「……貴方に言った私が馬鹿だったわ」
「酷くない……?」
勝手に忠告されて、勝手にため息を吐かれた僕は抗議の声を上げる。
「明日なんだから早く寝なさいよ?寝坊して遅刻だなんて許されないわよ?」
「はーい」
それでも、僕は続くレーヌの言葉へと素直に頷くのだった。
異世界の支配者にっ!~それっぽく活動して悦に浸っていたら、自分が過去に助けたヤンデレ美少女たちによって勘違いでどんどん話が進んでいた件~ リヒト @ninnjyasuraimu
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