学園

「……詳しく、教えてと言われても少し困るよね」


「確かに、特に詳しいことは知らないわね」


 修道服に身を包んだ女性の言葉に対して、僕とレーヌは共に首を傾げる。


「えぇっ!?その、些細な情報でもいいのです!どこに行ったのか、とかでも!」


「……連れていった貴族家の名前すら覚えてないよ?僕は。レーヌは何か覚えている?」


「いや、私も何も……いや、あっ!そういえば学園に通うとか言っていなかったかしら?」


「学園……?あぁ、そういえばたしかそんなことを言っていたかも」


 僕はレーヌの言葉に納得が言ったように首を縦に振る。確かに、そんなことも言っていた気がする。


「おぉ!学園ですが、それは何処の学園でしょうか?」


 僕とレーヌの言葉を受け、修道服に身を包んだ女性が疑問の声をあげる。


「この王都にある強大な学園だよ。名前はなんだっけか?」


「あー、えっと……なんちゃら学園よね」


「そうそうなんちゃら学園……って、それは一切名前出てきていないよね?」


 僕はレーヌの言葉に対して、ツッコミを入れる。


「確かに、そうとも言えるかもしれないわね」


「そうとしか言えないんだよ?」


「……ふっ」


「それだけで十分ですよ」


 くだらない会話を繰り広げていたところ、僕とレーヌの言葉に満足度げな修道服に身を包んだ女性が頷く。


「それだけの情報があれば十分です。後は探しに行けます」


「おぉ、それは良かったです。それで?学園でどうするんですか?やっぱり潜入?」


「普通に学園の方に入学しようかなと思っています」


「おぉー。良いですね。僕も学園の方に行きたいなぁ。入学したい」


 学園。

 良い響きだ。何か、イベントが起こりそうな匂いがあるではないか。


「……えっ?」


「あら?行きたいですか?いいですよ」


「……えっ?」


「私と一緒に学園に通いましょうか」


「良いんですか!?ありがとうございます!やったぁー!」


 自分のささやかな願いに対して、快く頷いてくれる修道服に身を包んだ女性の言葉に僕は歓喜しながら声を上げるのだった。



「……えっ?」

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