第2話 ゾンビなんかに負けるわけない

「おいゾンビが出るなんて聞いてないぞ!」

 俺はゾンビにビビり逃げだそうとする。

「頼むから追ってこないでくれ」

 すると、ゾンビはこっちに向かって追いかけてくる。

 俺と一緒に居る男は恐怖のせいか白目をむいている。

「おい、おっさんしっかりしろ」

 だが、全然元に戻らない。

 おっさんを抱えたままじゃ二人とも襲われてしまうため、全力でおっさんを起こそうとするがさらに力が抜けたのかその場に倒れこんでしまった。

「おっさん頼むって」

「起きてくれ」

 すると、おっさんがむくっと起き上がる。

「え? おっさん?」

 俺を背にして起き上がったおっさんの前に回り込むと、目はまだ白目をむいていた。

「起き上がりはしたけどその状態じゃ意味ないな」

 そんなことを言っているとゾンビがすぐそこまで来ていた。

「まずいもう間に合わない」

 ゾンビの口が大きく開き、俺に嚙みつこうとしてくる。

「来るな! どっかいけ」

 俺が大きく手を振り払うとゾンビは何事もなかったかのように後ろを向き歩いていく。

「な、なにが起きたんだ?」

「今確かに嚙まれそうになったはずなのに……」

 すると、またゾンビが嚙みつこうとしてくる。

「ほんとに何なんだラグいのか?」と思わず突っ込んでしまう。

 だが、それどころではなくゾンビの攻撃を上手くかわす。

「まずい今ここでおっさんが狙われたらやられっちまう」

 ゾンビの攻撃をかわしながらおっさんから距離をとっていく。

「このままじゃいつか俺もやられちゃうな」

「武器、何か武器はないか?」

 辺りを見渡すが武器になりそうなものはない。

「駄目だ暗すぎて何も見えない」

「明かりはないのか」

 暗い空間を手探りで何かないかと探す。

「ん、これは……」

 俺が手に取ったのは木のこん棒のようなものだった。

「よしこれに火をつければ松明になる」

「なにか火をつけるものはあるかなー」

 木を持ったまま俺は走り回った。

「火を起こさないと何も見えない」

 すると、数メートル先に明かりがつく。その明かりはまさしく火であった。

「火だ、誰かが火をつけてくれたんだ」

 俺は、その火を目指し走っていく。

 火のもとに着いた俺は、木の先に火をつける。

「おぉ思ったよりよく燃えるな」

 その木には油が塗られていたらしくバチバチと音を立てながら燃えていく。

 火の光を見たゾンビはじわじわと俺から距離をとっていく。

 ゾンビはやはり光に弱いようで目を手で覆いながら離れていく。

「やっぱり光に弱いか」

 この知識は俺があっちの世界にいたときに、世界が四角いブロックでできているゲームから得ていた。

「今思えばこの村には明かりがないな」

「もっと明るくすればいいのに」

 すると、辺りが明るくなる。

「な、明るくなった!?」

 明るくなったことによりゾンビの身体がじりじりと焼かれていく。

「本当にゾンビが焼かれてる」

 そんな驚きと同時にさっきの明るくなった現象に疑問を持った。

「なんで急に明るくなったんだ?」

 この世界にきてからこのようなことが何回かあったことを思い出す。

 俺の知る限りでは3回あり急に暗くなったこと、そして襲ってきたゾンビが急に襲わなくなったことそして、今みたく急に明るくなったこと。

「こうなった時には何か決まりがあるのか?」

 そう思い俺は考える。考えた結果一つの答えにたどり着いた。

 それが本当か確かめるために俺は一つ言葉を唱える。

「雨よ降れ」

 すると、空に雲がかかる。

「おぉやっぱり思った通り日本語が魔法を唱える呪文になっているんだ」

 だが、雲がかかっただけで雨は降らなかった。

「あれ?ちょっと違うのか?」

 そんな感じで魔法を使えることが分かった。(ちゃんと思い通りには使えていない)

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気づいたら異世界転生していました。 異世界で日本語を使うと呪文になるらしい。 LE/ON @mikuleo

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