第4話 京介の告白


 そのメールの内容は……。付き合って欲しいという内容だった。私はただ驚いた。なぜなら、初めての告白だったし、幼馴染みのあの京ちゃんからの告白だったから。

(どうしよう……)

 私は返事を保留することにした。バスケの大会もあることだし……。


『県大会優勝したら付き合ってほしい

 俺は全力で勝ちに行く!


           京介』


 我が中学の男子バスケ部は地区大会優勝、中央大会優勝、県大会優勝と好成績を納めた。そして、関東大会への出場を決めた。

 だから……。でも……。私と京ちゃんはつりあわない、と。

 県大会で優勝を勝ち取った時、部長である京ちゃんは部員のみんなと喜びあった。そして、観客席にいる私にブイサインを作り笑顔を送った。

 私は京ちゃんを直視できなかった。

 やっぱり……。私と京ちゃんはつりあわない。

 こんな私とは……。

 私は会場を後にした。

 そこに「志帆!」と声がかかった。振り向くとそこには京ちゃんが立っていた。

「志帆! 返事を聞かせて!」

「私! 京ちゃんとはつりあわないよ! だから……ごめん!」

 京ちゃんは私に近寄ってきて「つりあうとかつりあわないとかじゃない。俺は志帆が好きだ。ただそれだけ。志帆は俺のこと嫌い?」

「嫌いじゃない。好き」

「だったら」

「本当にいいの? 本当に私でいいの?」

「当たり前」

「京ちゃん……」

 京ちゃんは笑顔でブイサインを作った。それに答えるように私もブイサインを作った。



おわり



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

栄光のブイサイン とろり。 @towanosakura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ