第3話 希望


 でも実際登校の時間になると足がすくんでしまった。漠然とした恐怖が私を襲った。

 結局その日は学校を休んだ。かわりに京ちゃんが学校に来て、みんな喜んでいるだろうな。

(私なんか……私なんか……)

 メールが来たのはその日の夜。

『学校、来いよな』

 京ちゃんからのそのメールに私は返事をしなかった。


 翌日も学校を休んだ。風邪という仮病を使って。朝になると学校に行きたくなくなるのだ。

 そしてまたメールが来た。

『明日は絶対に学校に来い』

 私はそのメールを無視した。


 次の日。

志帆しほー、京ちゃんが迎えに来てくれたわよー」

(京ちゃん!)

 私は慌てて玄関に行き、京ちゃんの顔をうかがった。

(いつもの京ちゃんだ……。でも……)

 どこか心配そうなその顔に少し申し訳なさを感じた。

 こうなったら仕方がないので、部屋に戻り制服に着替えて、ノートなどをカバンに入れて、玄関に急いだ。

「京ちゃん、待った?」

「いや」

 いつものブイサインはない。どこかさびしい感じがする。

 京ちゃんの歩幅は大きく歩くのが速い。私はそれについて行くのがやっと。すると、あっという間に学校に着いてしまった。

「京ちゃん、私……」

 学校の昇降口で不安になった私は踵をかえす。そんな私の腕を掴み「大丈夫、心配すんな」と京ちゃんは言う。

 そこに見覚えのある顔が並んだ。加藤達だ。

「ごめんなさい、志帆」

と加藤が言うと川野と小林も謝ってきた。

「今後とも仲良くしてください」

 何がどうなっているのか分からないが「は、はい」と私は応えた。

「……」

 京ちゃんは無言のままブイサインを私に向け、微笑む。


 教室に入ると「おはよー」とみんなが声をかけてきた。ひとりひとりに「おはよう」と返し、私は席に着いた。

 地獄の1週間とは違ってみんなが優しい。私は違和感を覚えながらも、少し安心した。

 これでひとまず学校に通える、と。

 私は京ちゃんに感謝をした。


 平和な一日が終わり帰宅すると、京ちゃんからメールが届き、私はそれに驚いた。



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