AZ-HAMMER
――北極圏上空、海表よりおよそ四万メートル――
とある高度な文明による乗り物が浮かんでいる。その中に乗り込んでいるのはヒトとは違うシルエットをもつ二足歩行の生命体。足のカタチは犬に似ている。ピンと張っている尻尾は雄々しく誇らしげでもある。頭部の両側には長く伸びた耳がある。ただし、彼らの耳にも足にもジョージの拾ったカップ形状のものは付いてない。
「見つからないか」
乗り物の中央部にいる一体が声を上げる。立ち位置や振る舞いから、この一体がこの乗り物内のリーダーに違いない。
「ええ。縁あるモノに接触し、そのもの自体を見つけた際にはこちらに知らせてくれるこの探査機、直下の雪原に50機以上をばらまいたのですが、今のところ反応ありません」
そう説明している一体が手に持っているものこそがジョージの拾ったカップと同じものである。
「我らに害なす細菌やウィルスを無効化する設備があるとはいえ、我らが船長の悪食には困ったものです」
別の一体が呆れたように言う。
「えぇ、あんな獣が咥えていた……、とても清潔には見えない物体を食されて、『もう一度食べたい』だなんて……」
そんな声が聞こえたのか聞こえていないのか。リーダー格のその一体は手に持っていた一本の棒を無重量下のその場の中空にクルクルと回し、そして、パシッと手に持った。
その棒には【AZ-HAMMER】と書いてある。
AZハンマー ハヤシダノリカズ @norikyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます