第5球目 ラケット

2日目。

今日から本格練習。


昨日と同じきつい筋トレメニュー、素振りをこなして、その後にラケットを握って打つことに。

琢磨は家から母が昔に使っていたラケットを持ってきた。


「なんだその化石みたいな掘り出しものは?」

バカにするように二宮が言う。


「家にあったから持ってきた」


「それで打てるのか?てかそれ俺と違うタイプのラケットじゃねぇか」


「確かに違うな。まぁでもとりあえずやってみるわ!」


琢磨が持ってきたのはペンホルダーで表ソフトラバーだ。


琢磨が軽いサーブを出して始めようとしたが二宮が強打をする。


「おい、ラリーを続ける気はあるのか!?」


「あるよ!それくらい打ち返せよ」


「いやラリーを続ければいいんだからまずはゆっくり打てよ!」


「分かったよ!」


二宮は次も強打をして琢磨は返せない。


「おい!ふざけてんのか?」


「ふざけてる訳じゃない」


「次はちゃんと返せよ」


「分かったから!」


二宮がゆっくり打とうとすると球はオーバーして入らない。


「お前まさかゆっくり打てないのか?」

琢磨が笑いながら言う。


「調整が難しいだけだ」


二宮は不器用だった。

速い球は何故か入るがゆっくりの球が打てない。


何度もやってみたがうまくいかない。


「分かった、俺がお前の速い球に慣れるようにするから最初と同じように打ってみて!」


「俺なりに最大限調整はしてみる」

球が速いなりにもコントロールをして、琢磨もようやく返せるようになってきた。


そこからとにかく反復で何度も何度も練習を続けた。

日に日に速い球にも慣れてきて6日目には100回以上のラリーもできるようになってきた。


ケンカしながらもお互いがお互いの球にも慣れてきて、球を打つ楽しみも覚えてきた。


筋トレメニューにも身体が慣れてきて本人達も自信に繋がってきている。


いよいよ明日は入部試験。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

琢磨の卓球 @tarakiti

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ