第4話 壊したのか?!

「あーあー、君。あの祠壊しちゃったの?」


不意に祠があった場所から男性が出てくる。

年齢は30代後半、無精髭にボサボサの髪。

口にタバコを加えながらゆっくりと俺を見る。


「やっちゃったねー……君、もうすぐし「ふん!!!」」


男の顔面に思いっきり拳を叩きつける。

メキッという音を立ててクリーンヒット。

そのまま壁まで吹き飛ばされる。


「へ?!男の人?!そして田島様?!そんな話を聞かずに殴るなんて!」

「あー、大丈夫です。あれが呪いなんですよ」

「の、呪いが身体を持ってる?!」


そう、この祠の呪いは多岐にわたるけど共通しているのは呪いに誘導する人間っぽいやつが出てくること。

今回は30代男性だけど、お爺さんだったりお婆さんだったり。

最近だと双子の女児や白髪の少年だったり。

色々レパートリーがある。


「基本もうすぐ死ぬからどうにか助けてあげよう、って感じで連れていかれるんです。連れていかれた場所がモンスターハウスだったり、即死トラップだったりで。後呪いの解除アイテムとか言って猛毒の指輪とかを渡してくるタイプもあります。前全身が焼き尽くされるタイプの腕輪をはめられて大変でした」

「……経験済みだったんですね。てか燃えたんですか?!」

「火耐性無効なので(キリッ」

「あ、はい」


……くっ、スルーされた。

ま、そんな感じで祠は壊さない方がいいよってことで。

リアルで呪いとか受けたら大変ですからね。

日頃から気をつけないと。


「ぐっ……お、おのれ……グルルル……」

「あ、生きてたか。しぶといねー」

「はっ、人の顔をした……モンスター?」


さっき殴りつけた男がフラフラと立ち上がる。

いや、立ち上がってないな。

首だけ宙に浮いている。

奥の壁がぐにゃりと歪み、ズルズルと何か出てくる。


「あ、言い忘れてました。祠の呪いは基本モンスターです。今回はヒトダマタベタベリクアンコウというモンスターですね。人の身体をした触手を利用して罠にはめるタイプですね。多分あの男について行ったらそのまま口の中に連れ込まれてましたね」

「冷静に解説しないでください!って変化形モンスター?!ミミック以外にもいるんですね」

「あ、言われてみればそうですね。ミミックと同じです……ここまで言うと分かりますよね?」

「……討伐するといいアイテムが手に入る」


そう、この祠に擬態して襲う系は倒すと宝石だったり、魔導書だったりレアアイテムを出してくれるのです!

しかも擬態して獲物を待つ系だから動きが遅くてカモなのです!


「さらにリクアンコウ系は大型なので期待度アップ!いい祠に巡り会えましたねー」

「……なんでしょう、この経験から祠を壊しまくってしまいそうですね」

「……やめてくださいね?極力回避の方向で。本当にガチの呪いをかけてくるやつもあるので」

「分かりました。それじゃ討伐開始、ですね『イミウル』!」


サヒーリ王女の声に答えて精霊のイミウル君が召喚される。

さ、俺もサクッと参戦しますかね!

あん肝、取れたら家で食べようっと!



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~あーさんの息抜き短編集~ 【あーさんのダンジョン飯配信外伝】 金剛石成 @Congo

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