第40話 テスト結果発表

定期考査の土日明けに先生が言ってたように本当に結果がはりだされていた。

俺たち1年は教室の横に貼られているそれを見るために、たくさんの生徒が押し寄せており、遅めに来た俺たちは近づけるような状況じゃなかった。


「猿集まりすぎでしょ、なかなか結果が見れないじゃん」

「そうだなぁ.......」


生徒を猿扱いする沙彩のことはもう慣れたからもう反応しないが.....早いとこどいて欲しいよな、ほんと。


「あ、双葉くんと沙彩ちゃんじゃん!」

「おーう、片野」

「ちっ......おはようメスガキ」

「沙彩ちゃん聞こえてるよ!!??」


掲示板にはられてるテスト順位をどうにかこうにかして見ようとしている俺たちに片野さんが気づいた。

有希や怜や要は来てねぇか........。


「なんかあたしに冷たくないかな沙彩ちゃん!!」

「君はほんとに......何故か油断出来ないんだよね、知能が低いメスなのに」

「あたしそんなに嫌われるようなことしたかな?」

「足りない脳みそで考えなよ」


おおう......なんかあんなことがあったせいか沙彩が以上に片野さんに対して厳しいな。

あんなに人を見下してるの久しぶりに見たぞ。


「それにしても、すっげぇ人の数だよなぁ」

「うんうん、きっとみんなワーストの方の順位表に見られてないか怖いんだろうね」

「確かになんか念を感じるね......」


みんながこのテストを一生懸命にやったのは別に成績が欲しいからとかじゃない、みんな推薦は狙ってないからな。

じゃあなぜ頑張ってるのかと言われるとワースト順に貼られたくないの一心なのだろう。


「赤点回避赤点回避赤点回避赤点回避......!!」

「絶対貼られてたまるもんですかっ......そんなことしたら人生が終わってしまうわ」

「馬鹿なんていう称号は死んでも勘弁だ.....!これでも中学じゃ学年一位をとったことがあるんだぞ.......!?」


いやまじ......そんなに貼られたくないか皆の衆よ。

まぁでもよく考えたらこの高校は中学の時に定期テスト1桁常連が来るような高校だから、みんなプライドがあるんだろうな。


「双葉くん見える?」

「あぁ、見えたぜ」


この中じゃ1番背が大きい俺は背伸びをして順位表を見た。まぁ正直俺からしたらどうでもいいんだが......沙彩だって自分が学年1位だと疑って無さそうだしな。


「沙彩はもちろん学年一位......クラス平均だったら俺らのクラスが1位だな」

「まぁ、そりゃあそうだよね」

「正直クラスメイトの反応で予想出来てたけどね〜」


そう......当たり前のことだが俺らより先に結果を見ているクラスメイトがいるわけだ。

だからそいつらの反応を見れば正直結果なんて簡単に予測ができるし......かなりの人数集まって勉強会したんだ、当たり前とも言える。


「ふぅ〜......お疲れ、双葉くん」

「あぁ♪」


自信があったとはいえケアレスミスがあってもしかしたら......ということも無きにしも非ずなので安心した。


「でもやっぱり.....2人ともすごいねぇ。みんなを見事にまとめあげてクラス平均1位にしちゃうんだから」

「俺は何もしてねぇさ......ほとんど沙彩の功績だよ」

「いやいや双葉くん、それは​─────」

「なわけないじゃん」


沙彩が何か言いかけた言葉を遮るように片野が口を挟んだ。

この時の彼女はいつものようなおちゃらけた様子ではなく......真面目そのものだった。


「あたしは勉強会に参加してたから分かるけど、確かにほとんどの人には沙彩ちゃんが教えてたかもだけど、勇気がなくて話しかけれない人には君が率先して教えに言ってたでしょ」

「それはまぁ.....そうだが」

「困ってる人を助ける......それってとっても難しいことだと思うの。だって誰がどう困っているのか、それを君は瞬時に見極めた。そして影でたくさんの人を助けた......だからあたしはそんなあなたがかっこいいと思うな♪」


いつもの頭おかしいのはどこにいったよ...,..と、思いながら流石にここまで言われると思わなくて少し、恥ずかしいと思ってしまった。


「確かに沙彩ちゃんに隠れてる部分はあると思うけど......あなたのその優しさで救われてる人は思ってる以上にいるんだよ、例えば───」


流石にこれ以上はきつい──と思ったのも束の間、このタイミングを逃すまいとしたヤツらが集ってきた。


「まったく双葉くんの自己評価はずっと低いままだよね〜......あたしを堕としたってことで自信がついて欲しいもんだけどねぇ♪」

「全くです双葉様───双葉くん。」

「お前はもっと自信を持つべきだよな、要」

「全くだね......」


今度は片野の言葉を遮った沙彩、そしてその隣から出てくる有希。

そして俺の肩を掴んできた要と怜が来た。


「この際なので言ってしまいますが......双葉くんは四六時中沙彩のことを思っています」

「俺達と一緒にいる時も天海のことばっかだもんなぁ......でも、そんな一途に1人の女のことを思い続けるのはかっこいいことだと俺は思うぜ」


.......オレ、トイレイッテクルネ

どうやらここに俺の味方は誰一人として居ないらしい。

この状況を抜けるために俺はトイレへ逃げるのだった。



△△△


「うーんやっぱり......メスガキと双葉くんに何か違和感を感じるんだよねぇ」


双葉が可哀想なことになっている状況の中.....沙彩は少しだけ考え事をしていた。


「普通、あんな大胆な行動をしてくる馬鹿がいたら直ぐに私の仲のセンサーが『即刻にこいつを潰せ』ってなるんだけど......反応しないんだよね」


沙彩は双葉に恋愛感情を寄せる人に対してはとことん感覚が鋭いというか......すぐに、「あぁ、好きなんだな」って理解することができる.....だが彼女は沙彩のセンサーに引っかからなかったらしい。


「......まぁいいか、何かを感じたから有希を使ってすぐに殺せばいいだけの話だよね」


沙彩はそう結論づけ......双葉の所へと向かった。


「双葉くぅ〜ん!一緒に女子トイレ行く〜!?」

「馬鹿じゃねぇのお前!!??」




あとがき

4ヶ月ぶりらしい

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天才で完璧な幼馴染からはもう既に逃げられなくなっていた りと @Raimgh

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