絶妙なテンションの幻想文学だと思います

ジャズを聴いているとテンションコードという響きに出くわします。
それひとつではどこか不安定なのですが、前後の流れの中で絶妙な音になります。
この作品もまさにそう、少ない登場人物に人の気配を感じない街並み、家族なんだけどどこか距離感を感じる会話、そして何より舞台となる釣り堀の不可解さ。
確かにひとつひとつはどこか不思議で不安定な雰囲気ではありますが、それらがうまくかみ合って絶妙なハーモニーを奏でます。
短編とは言え8000文字の力作、しかし独特の口調と雰囲気に包まれながらあっという間に読み切ってしまいます。
そして感じたこと、これは幻想文学だ、うん、きっとそうだ!

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