私の王子様、お迎えにいらしてくださいませ。
柊藍々
王子様、
私は何回も婚約破棄されてきた。理由は『見た目が気に入らない』『愛嬌が無い』などと言われてきた。自分でも意識しているのが逆張りしたのか、それともちゃんと意識出来てなかったのか。どっちでも私は嫌われる。今日も婚約者が来る。もう懲り懲りだ。
コンコン、
『はい、どちら様で。』
「メイドの者です。婚約者様がいらしたのでお通し願います」
『許可します。通りなさい』
「失礼致します。」
『それで、婚約者様は、』
「今連れて参ります」
『はじめまして。貴方様がミディア姫でしょうか。』
ちゃんと意識しなきゃ。
『はい、私がミディアでございます。』
『申し遅れました、西の騎士のムジアでございます』
『…何故私と婚約しようとお考えに?』
『自分はミディア姫はとても魅力的な姫だと思ったからなんですよ。』
『魅力的……』
はじめて言われた“魅力的”という言葉。品のない私に似合う言葉とは到底思えない。
『はい、一般人にも王宮と同じ様に平等に接している姿を見て好きになったんです』
『…こんな私で、宜しいのですか…?』
『逆に自分でいいのか不安な位ですよ』
『他にもお美しい姫はいるはずです。何故私なんかを』
『なんかじゃなく、自分が好きだからです。』
『……』
涙が頬を伝う。ちゃんと一直線に“好き”と言われたのははじめてだったから。
『あ、ありがとうございますっ、取り乱してしまい申し訳ありません、』
『大丈夫です。そして改めて』
『自分は貴方が、ミディア姫が好きです。もしよろしければ自分と婚約して頂けませんでしょうか』
こんなにも真っ直ぐなプロポーズは嬉しいかった
『…はい喜んで』
それから私達は結婚式を挙げ正式に婚約となった。
私の王子様、お迎えにいらしてくださいませ。 柊藍々 @ramom0520
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