第5話

 ある夏の夜のことだった。窓を開けたまま眠りに落ちていた私の耳に歌鳥かとりの歌声が聴こえてきた。


―― ひとりぼっちの おほしさま 

   からだの とげとげ こわがって

   みんな ぶるぶる ふるえてた


   ひとりぼっちの おほしさま

   あるひ とげとげ なくなって

   みんな にこにこ あつまった


   まあるい まあるい おほしさま

   いまは みんなの にんきもの


 私が、生まれて初めて歌った童謡だった。私の歌声を聴いた皆が蕾がほころぶような笑みを浮かべていた。私は、プロの歌手になることばかりに執着し、歌うことの楽しみをずっと忘れてしまっていたのだ。


 一年ぶりに私がうたった歌は、とても歪で、そして、とても優しい歌だった。


                                     了

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Singing Bird 喜島 塔 @sadaharu1031

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