最終話

「あ、もうこんな時間」

 数也と東京の物件について話し込んでいるうちに時計の針はもう日を越えそうだった。明日は朝早くから二人でデートをする予定だ。

「ほんとだ。そろそろ寝ようか」

「そうだね」

 彼に賛同し、寝る前に歯磨きをしようと立ち上がる。

 そこで私はふと思い出した。

「あれ」

「どうした」

「そういえば、あと一つ秘密が残ってるよね」

「あ、バレた?」

 数也は悪戯が見つかった子供のように苦笑いを見せた。さすがにもう浮気なんて疑ってはいないけれど、それはそれとして気にはなる。

「え、もしかして私に言えないこと?」

「いやそういうわけじゃないんだけど、ちょっと照れくさくて」

 私がじっと見つめると、彼は観念したように立ち上がって自分のスマホを手に取った。

「実はスマホのパスワード、変えたんだ」

 ロック画面を表示させると、彼は4桁の数字を入力した。

 その指の動きで、私には何の数字かわかってしまった。

「0915」

 ロックが解除され、ホーム画面が開く。

 画面右上の時計が0:00を表示した。

「誕生日おめでとう、遥花」



(了)

 

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四つだけ教えてくれない 池田春哉 @ikedaharukana

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