隣の彼女

見られてました

　僕の席の隣の彼女には秘密がある。セミロングの黒髪眼鏡、制服のブレザーも着崩さず既定通りの真面目な子。

　他の男子は地味だって言うけど、眼鏡の奥の大きな瞳は少し青みがかかっていて綺麗だし、痩せてるけど実は胸も大きいって僕は知ってる。

　落ち着いた話し方をするから、大人しいと思われがちだけど、自分の意見はちゃんと言えるしっかりした性格だ。

　でも本当の秘密はそこじゃない。彼女本当は猫の妖怪なんだ。

　校舎の裏で野良猫と「にゃーにゃー」って猫語で会話してるのを何度も見かけたし、僕と2人きりになると、モフモフの猫耳と尻尾を出して甘えてくる。

　さっきだって僕が落とした消しゴムを渡すふりをして、そっと指を絡めてくれた。柔らかくていい匂いがして最高に可愛い彼女。

　僕らは秘密の恋人同士。……って、実は全部妄想だけど、隣の彼女には秘密。

え？やだあれ、見られてたんだ。

彼の思考が全部見えて聞こえてドキドキしてるのは、私だけの秘密。