ノンのん、ノーンっ(´;ω;`)
「ぬぅぉぉおおおおおーーーーん!」
室内に重低音美ボイスが唸りをあげる。
「ノンのーーーーん、のぉぉぉおおおんっ!!」
四方八方から突き刺さる紫煙の矢羽を身体をくねらせ回避する。
両手が壁に固定されてはいるものの、下半身と胴体の筋肉は動かせた。
長い脚を自在に操り巻煙草つきダーツの矢を蹴り落とす。
多少の火傷は覚悟のうえだが、傷だらけでも筋肉の防御力は衰え知らず。
もちろん刺さった矢羽などものともしない。
さすがは
ちょっとやそっとの修羅場では挫けない。
ただひとつの弱点は……そう、とっても燃えやすいあの場所だ。
「うぉぉぉおおおお。髪の毛はっ、漢の誇りなんじゃぁぁぁああああ!!!」
血走った目で周囲を威嚇し、煙草の火から必死になって頭髪をかばうドン・アーウィット。
無情にも頭頂部に特大の葉巻が火花を散らしながら飛来した。
「うぐわぁぁぁあああ”あ”あ”!!! あち”っ! あち”ち”ち”ち”!!」
「ハーッハハハハ! 良い眺めだぜ。燃えろ燃えろ〜」
「ワハハ。いい気味だな」
「ガハハハハハハ」
「ウヒャヒャヒャヒャ!!」
チリチリと燃えひろがる火事現場と絶望の色。
美中年オッサン首領は敵陣に唯一人、憎き宿敵たちの笑いの種と化していた。
そしてしばらく愉快な笑い声が響いていた煙の中に、いきなり数人の足音が。
つづいて……ドガッ、バギッ、ズダダダダっと、誰かが誰かを打ちのめす音がアチラコチラから聞こえてきた。
「親父〜、無事か!? 助けに来たぜ!!」
「ボス、今拘束を外します。もうちょい辛抱してくれよ?」
「…………」
堅牢な別荘は、味方によってあっという間に制圧された。
ダーツゲームの現行犯たちはボコボコに制裁されて、全員が床に転がり大人しく無力化されている。
仲間によって無事に救出されたドン・アーウィット。
それなのに、彼の機嫌は最低最悪。
「おっ、、、・・・・っっそおおおおおい!!!! 遅すぎるぅっ!!!!!」
敵の太っちょトップや雑魚たちと床に這いつくばって、涙にくれる哀れな姿。
「私の、私の大事な頭髪がぁぁぁっ……ぅぅう。っうぅぅ……ぅぅ」
迎えに来てくれた
「うわぁあああんっ。私の毛根はっ、不滅だぁあああ!!!」
毛生え薬を取っ替え引っ替え試しに試しても効果がイマイチだったドン・アーウィット。
今度は薬剤業界を牛耳って新たなる毛生え薬の開発に乗り出したらしいと、街の噂でもちきりである。
[おしまい]
黒ハゲ☆★☆危機一髪!? 代 居玖間 @sirokuma-smiley-u-
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