大国の思惑に翻弄される近代日本風国家を舞台とした、空想御前試合を描く歴史作品です。
この物語を語る上で欠かせないのが、地の文に込められた濃密な情報です。
現実の類似国家を作品に登場させる場合、どうしても相違点の説明には大量の文章が使われがちです。
しかし、この物語では説明一つを取っても瞬時に光景が浮かび上がる表現力がある。どうしても単調になってしまいがちの説明を、ユーモアによって華を持たせることが出来る。
タイトルのせいでギャグ色が強めの作品にも思えますが、中身は歴史小説好きが唸らざるを得ない程の複雑なヒューマンドラマに溢れています。
重厚な文章と、真面目な逸話で語られるビキニアーマー。多くの方々が満足出来る作品です。
実感できる作品です!あらすじを読んでいただけると世界観がどのように構築されているのかをその目で確かめることができると思います!
あえて異世界という形にすることで、時代背景等を読み手側が意識する必要がなく、どのような世界が広がっているのかを楽しみながら読み進めることができます!
文章の濃厚さ。進行の緩急でついつい物語に圧倒されつつものめりこんでしまいますが、個人的に描かれている女性がとても魅力的ですね!
まさに凛とした美しさという言葉が似合います!飾られた美しさではなく、内面から滲み出る美しさが濃厚な文章をお互いに引き立て合うように感じられました!
そしてタイトルに冠する女性の水着・・・ではなく甲冑「美騎爾(ビキニ)」も言い方を変えるとここまで印象が変わるんだな・・・と驚かれることに・・・!
そんな魅力的な女性が戦う和風ファンタジー!物理的な女子力とはどういうものかみなさんもご覧になってみてください!
異世界ファンタジーというと「陽気」で「西洋もの」一色ですが、このお話はそれと一線を画す「硬派」な小説です。ただ、ファンタジーというよりはSFや時代小説に読み味が近いので、SFや時代小説が好きな人に読んで欲しい小説です。
物語の器となる地理的な条件は、今の世界とほぼ同じなのですが、そこに注がれている物語に色々な工夫が詰まっています。特に「美騎爾(ビキニ)」アーマーの設定と描写が秀逸で、ほんと有無も言わさぬ何かがあります。
ストーリーは先程言った通り「硬派」なもので、読み味は漆器のごとく、読み進めれば読み進めるほど重厚さを増していく物語です。だから、ラノベが好きな人はちょっと苦手な小説だと思いますが、古き良き一般文芸が好きな人には是非お勧め! 地の文からくる重厚感が本当に心地よいファンタジー小説です。