僕らのミッション(14)

「あのさ、皆に実は言ってないことがある。ヤバイ知らせだ」

「ヤバイ、知らせ!?」


 帰り道、アイスを食べながら、言いだせなかったことを口にする。


「なに? ヤバイって、どんぐらい?」


 聞く前から怯えるタケ。


「一昨日ほどはヤバくないだろうよ」


 余裕ぶるレンレン。

 水谷さんは、ワクワクした顔をしている。

 元来彼女は、好奇心旺盛なのだろう。


「うちの父ちゃん、やっぱ金曜日に警備のオッチャンと、いつもの居酒屋で飲んでたって言っててさ」

「……、あれ?」

「それって……」


 僕らが学校にいた時間帯、警備員さんは外で僕の父ちゃんと飲んでいたらしい。

 じゃあ、僕らが見た、あれは!?

 深夜に徘徊する死んだはずの警備員だったの!?

 学校の七不思議を思い出した僕らが青ざめる横で。


「ねえ、もう一回確かめに行こう、行こうよ」


 水谷さんだけが目をキラキラさせる。


「絶対、やだって」

「ええ、だって気になるよ~!!」


 逃げ出した僕らを、笑顔で待ってよと追ってくる彼女を、どうやって説得しようかと苦笑しながら考える。

 この夏、僕らのミッションはまだ終わりそうにない。

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僕らのミッション 東 里胡 @azumarico

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