ギリギリでいつも生きている
神山れい
明日のお昼が締切だったはず
「はい、今日の授業終わり。お前ら、課題やったか?」
先生の言葉で思い出す。課題の提出、明日のお昼までだ。
前日にやれば余裕とか思いながらこの三日間過ごしてきたけど、あっという間にその日が来てしまった。
面倒くさい。そう思いながらもちゃんとやるんだから偉いと思う。
課題は数学のワーク、三十八ページから四十三ページまでだったはず。途中の式は省くなって言われてるけど、一日あればこんなの楽勝楽勝。
家帰ってやろう、そんなことを思いながら伸びをしていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。振り向くと、後ろの席に座っている友人から数学のワークが差し出される。え、何で。
「五ページってだけでも大変だよね。途中の式とばしちゃうと駄目だしさ」
「見せてくれるの? うわ、ありがたいわぁ」
「え? 今から集めるんだよ?」
「え? 提出期限って明日でしょ?」
こいつ何言ってんの、と言った顔をする友人に、私も同じ顔で返す。
「提出期限は今日のお昼までじゃん。ほら、みんな一番前の席の子に渡して前に出してるでしょ?」
「え!? 嘘!」
「はあ!? あんた、ちゃんと先生の話聞いてなかったの!?」
「聞いてたよ! 明日のお昼までだって言ってたって!」
「言ってないよ! 今日のお昼までって言ってたよ!」
そんなの聞いてないって。
わたしは手を上げて「今からするから待ってほしい」ってお願いした。先生は呆れてたけど、何とか許してくれた。特別に今日の放課後までに出せばいいって。
「あんたさ、ギリギリで生きるのやめなよ」
「わかってるよ……」
今回は先生の優しさでギリギリ何とかいけたけど、この性格直さなきゃな。
だけど、どうしても「まだいける」「まだ余裕」とか思っちゃうんだって。
そうして放課後、提出しに行ったら案の定、先生からも友人と同じことを言われた。
出したのに、って言ったら怒られた。
次の課題は気を付けよう。
ギリギリでいつも生きている 神山れい @ko-yama0
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