第三話 危機一髪。呪いから逃れたようだ。

「そうだね。上木香さんも消えている」

「そうですか」

 まあ、見たんだけどね。


「手がかりは、ないのでしょうか?」

 そう聞くと、警官は困った顔になる。


「そうなんだよ。当然最初は通報があって、学校中を探し、交友関係を探し。まあ色々とね」

「色々?」

 そう聞くと、警官はもう一人に、肘で突っつかれる。


「こんな事を、君にしゃべるとまずいが、彼ら男女の関係……」

「馬鹿、言うなと合図をしたのに。なんでしゃべる?」

「すみません。でもまあ。良いでしょ。それでだね。ひいきのファッションホテルがあったようだが、そこにも居なかった。一応他言無用だよ」

「はい。分かりました。そうか、そうだったんだ」

 調書に補足を書いて、二人で相談。


「うーんまあ、こんな所だね。クラスに少し噂が立っているらしいけれど、気にしないほうが良い。君の責任は問われることはないだろうし。それじゃあ」

 そう言って立ち上がるが、もう一人が声をかけてくる。


「きみ、随分鍛えてるね」

「そうですか?」

「武道をしないか?」

「えっと、どうして?」

「こら、勧誘をするな」

 そう言って、慌ただしく出ていった。


 警官が言った言葉は本当だったが、学校に行くまでが、ちょっと騒動があった。


 身長が一〇センチ以上も伸び、一八二センチ体重七二キロ。

 体はビシビシで、退院をしてから、服がなくて親に泣かれた。


 学校に復活するまでの数日に、教科書をふらっと見る。

 すると、簡単に理解を出来るので、中学校の教科書まで読み返して覚えた。


 そして、香のお母さんが、お見舞いに来てくれた。


 娘が居なくなって、心労がかなり来ているのだろうが、それを押して俺に会わないといけないと思ったようだ。


 箱に入れられ厳重に、密閉された何か。

「これをね、今回、香の部屋で見つけたの」

 そう言っておばさんが開いた箱には、俺の写真が貼られた人形。

 写真からすると、小学校の高学年だろう。


 そして、その木の人形は、真っ二つに割れ。首には長めの髪の毛が結ばれていた。

「どこからどう見ても、怪しい感じですが?」

「そうよね。なんだか不気味だけれど。天命君の写真が張ってあるし」

 俺はそっと、人形を手に取り、魔力を流す。


「呪いの人形ですね。香のお手製」

 そう言うと、香のお母さんは、やっぱりという顔をする。


「触って大丈夫なの?」

「ええ、これはもう死んでいます。なんの力もありません」

「そうなの良かったわ」

 そう言った後、首をかしげる。


「どうして分かるの?」

「なんでしょう? なんとなくです」

 そう言って、笑みでごまかす。


「後で、塩でお清めをして、お焚き上げをしておきます。いただいても良いでしょうか?」

「ええ。そうしてくれる。私も…… 少し気味が悪くて」

「はい。責任を持って。始末をします。香。見つかると良いですね」

「そうね。ありがとう」

 そう言って、お母さんは帰っていった。



 学校へ登校した時から、噂で持ちきりとなった。

 むろん、俺の変化についてだ。

 路来はあまり人気がなく、超常現象のほうが盛り上がっていたが、俺の変化でそんな話は飛んでしまった。


 偏差値は一〇〇からのほうが近くなったし、運動も出来る。


 そして、呪いの人形を浄化魔法で浄化して、ファイヤーボールで燃やし尽くす。

 鑑定では、香のお手製だが、地縛の霊が力を貸してかなり極悪な呪いが俺に掛かっていたようだ。


 あの召喚の魔方陣が光った時、王国の秘術は成功をした。

 本来の召喚者である俺に、力と魔力がぶっ込まれ、香に憑いた悪霊が向こうの邪神に引かれた。

 路来は、巻き添えを食らった。

 俺は、危機一髪で呪いから逃れて、おまけを貰った。


 異世界帰りで無双します状態で、これから、どう無双をしようかと悩んでいる。



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 おおっ。結構、長編になってしまった。

 指が痛い。

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危機一髪を回避。勇者召喚と呪い。そして幼馴染み。 久遠 れんり @recmiya

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