これほどまでに「言うは易く行うは難し」の方法があるだろうか。


 あらゆる人が抱えるであろう「悩み」。

 是非とも解決したい、苦しくて仕方がないという思いをどうしたらよいか。

 悩み続けた筆者が出した結論は、シンプルにして果てしなく深遠なものだった。



 アドラーの心理学では「すべての悩みは対人関係の悩みである」と伝えられている。

 それは「他者がいなくなってしまえば、あらゆる悩みも消え去ってしまう(実際はあり得ないが)」ということを意味している。

 だが、本当にそうだろうか。自分以外のすべてが消えたとしても、自分一人だけでも悩みは生まれるのではないか。

 例えば理性的な自分と感情的な自分の狭間で揺れ動くなんてことは容易に想像できる。
 自分以外の人間が消えたことを知っていたら、なぜ消えたのか、自分はなぜ残ってしまったのかを悩むだろう。知らずに生まれたとしても、自分以外の同類はいないのか、この先どうなるのかを悩むだろう。

 結局のところ、尽きることはないのではないか。


 なので筆者が考え出した結論は、記憶や感情を消すといった反則を除くと、究極的には「それしかない」と思うし、仮に出来たら(良くも悪くも)あらゆる悩みを解決するだろう。
 ただそこに辿りつくためには、ずっと悩み続けなくてはならないはずで、途中で放り投げたり、他者に矛先を向けたりする方がよほど多いだろう。

 言うほど簡単な話ではないが、正道の一つとして覚えておいてほしい。そんな感じを受けた。