一杯のかけそばという非常に有名なストーリーがある。
人の暖かさを知ることのできる、実に教育的な物語である。
この短編もどこかの札幌の街が舞台になっているのだが、その性質はだいぶ異なっていて……
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この千文字ばかりの物語は、非常に教育的である。
ただしこの世界のかけそばの話とは異なり、道徳的というよりかは数理的な教育となる。
すなわち、数理とは自然が生み出した事象を説明するために作られた分野であり、どれだけ不自然で素っ頓狂なものであったにせよ、
それが現実に起こる自然現象を誤りなく説明できるのならば、正しいということだ。
そのために虚数というものは作られた。説明のための仮の存在であるが、それで世界が動くのだから問題はない。
この作品はその仮の存在が実体を持った世界での話であり、私たちの世界では認識することが出来ないのだ。
まあ、虚数だけに、読者のイマジナリーで読み進めて欲しい。