第46話 完成

 街の装いは完全に宿場町として完成をした。

 

 臨時だった冒険者ギルドもララさんが冒険者ギルドマスターとして在住することが決まり、数名の冒険者も在籍して鉱山の攻略をしてくれることになった。


 宿場町の売りとしては大衆温泉と宿屋だろう。

 鉱夫の奥様方や、ハザマの街で仕事に溢れた人たちが移住してくれて、温泉宿の経営に協力してくれることになった。


 ドワーフの街、ハザマの街、鉱山の宿場町が協力して、観光客の迎え入れを行うことになった。

 名物は、火の鳥亭のご主人指導で、ファイアーバードの唐揚げと、バジリスクの串焼きが採用された。


 冒険者たちにはこれまで以上の捕獲率を誇ってもらいたい。


「いくのかい?」

「鉱夫長。色々とお世話になりました」

「何を言ってんだよ! 世話になりっぱなしなのはこっちの方だ。盗賊どもから命を救ってもらって、あんたのゴーレムがあったから鉱山の生産量が増えて、街もこんなにも発展することができた。もしも、鉱山が枯渇して取れなくなっても、温泉街としてこの街は発展していけるだろう」


 鉱夫長の言葉に俺は嬉しくなってしまう。


「それならよかったです。ここまでしてきたことが無駄じゃない」

「カイナのことか? すまないな。あれも多感な時期で色々思うところがあるんだ」

「いえ、彼女にはたくさんお世話してもらいましたので、裏切ってしまったような気がしただけです」

「そうか……」


 俺は旅支度を終えて、サンドを作る。


 サンドに乗せてもらうことで、速度を上げることができる。


「ヒースお兄ちゃん!!!」


 俺が旅立とうとした瞬間に、カイナちゃんの声が響いた。


「カイナちゃん!」

「私、待ってるから」

「えっ?」

「ヒースお兄ちゃんが、全ての扉を超えて世界を渡って帰ってくるまで待ってるから、必ずここに帰ってきて」


 たくさんの思い出がこの街にはある。


 エルシェンと決着をつけた場所であり、工房を作り自分だけのゴーレム作りを行った。そして、宿場を作って、自分の居場所を見つけたような感覚を覚えた。


「ああ、約束だ。俺は必ず全ての旅を終えたらここに帰ってくるよ」

「待ってるから! 帰ってきた時には、私をお嫁さんにしてね」

「えっ?」

「大好きだよ! ヒースお兄ちゃん!」


 こんなにも大々的な告白をされるなんて思わなかった。


 近くにいた鉱夫長も苦笑いを浮かべている。


「ああ、わかったよ! その時には必ず! 君を迎えにくる」

「うん!」


 4体のゴーレム美少女と共に、俺は旅を続ける。


 帰る場所があるからこそ、旅も良いものだと思えてくる。



 俺が全ての扉を超えて世界を渡るのに五年の月日が流れてしまった。


 たくさんの困難があり、ゴーレムたちをたくさん作ることで美少女たちが完成していくのが楽しかったからだ。


 だけど、最後の世界を渡ってゴーレムマスターになった俺は、女神様に会うことができた。


「あなたに問いかけます。あなたが望む世界はどこですか? あなたをそこの住民として認めましょう」

「もう決まっているんです。俺は四つ目の溶岩と岩の世界グツグに帰りたいです」

「そうですか。ならば、あなたをグツグの住民として認めましょう。その優秀な才能を更なる世界の発展に使ってくださることを願っております」


 五年ぶりに訪れたグツグの世界は変わらず岩ばかりで、溶岩が川のように流れている。他の緑が溢れる世界や、海ばかりの世界も幻想的で素敵だったけど。


 俺はやっぱりこの世界が一番いいよな。


 久しぶりに訪れた宿場街は、五年前よりも繁盛している様子で賑わっていた。


 そして、久しぶりに訪れた工房は、埃まみれになっていると思ったのに綺麗に掃除がされていた。


 ガタッと音がして、振り返ると綺麗な女性が立っていた。


「すみません。勝手に入らせてもらいました」

「……帰ってきたんだね」

「えっ?」

「もう、私だよ! カイナ。お兄ちゃん! おかえり!」


 そう言って綺麗な女性が俺に抱きついてきた。

 あの頃は子供だったカイナちゃんが綺麗な女性に成長していた。


「ただいま。カイナちゃん。全部終わったよ」

「うん。無事でよかった。お帰りなさい、ヒースお兄ちゃん」


 なんだろう。彼女の元に帰ってきて、初めて全てをやり遂げたんだと思えた。


「そうだ。君に見てほしいんだ! 俺が旅をして作り上げた成果を」

「成果?」


 俺は4体の美少女ゴーレムを召喚する。


 そこには完璧な造形美を誇る見た目が美少女のゴーレムたちが現れる。


 見た目だけでなく、性能も完璧なゴーレムたちはどこに出しても恥ずかしくないほど完璧な存在へと。


「ヒースお兄ちゃん」

「うん? 凄いだろ?」

「どうして美人ばっかりなのよ! どの子も私よりも可愛いじゃない!!」

「えええ!! そこ??? 見た目じゃなくて性能がだな」

「そう言うとこ全然変わってないね。もう、全く」


 カイナちゃんはやれやれとため息を吐いて、俺にそっと近づく。


「だけど、安心したよ。ヒースお兄ちゃん大好き」


 そう言ってカイナちゃんが俺にキスをしてくれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


どうも作者のイコです。


本当は続きを考えても見たのですが、ここで終わらせる決断をしました。

放置するよりも、その方が自分の気持ちがスッキリすると判断させていただきました。


読書いただいた方々にはお付き合いいただきありがとうございます!

他にもたくさんの話を頑張って書きますので! 


どうぞこれからも応援をよろしくお願いします。

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追放後の人生はAIゴーレムでハーレムだ イコ @fhail

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