第10話
「あれ。」
「おはようございます。どうしました?」
「縮んだ?」
朝、マスターは朝食をもってきてくれた。ビュッフェ形式らしく一応断わって持ち出してくれたのだ。
「ほらこれ、メロあったから持ってきたぞ、あのココアみたいなやつ。」
「それ子供が飲む奴じゃないですか。」
「いや、コーヒー紅茶メロの順で並んでたから思わずだ。それにお前成長期じゃん。」
「だから成長しちゃいけないんですって。」
そんな会話をしつつ駐車場で食べる。最近は野外も慣れたが室内が恋しい。テレビのグランさんもこんな気持ちだったんだろうな。
「うーん、やっぱり明らかに縮んでいるぞ。昨日食った物の中にあったって事か?」
「それならばいいのですが。」
「ちょっと調べてみる。言葉よくわからんからどこまで判るかなんとも言えないが。」
「お願いします。」
そう言ってマスターは宿を出て行った。一緒に出れば良いかとも思ったが、あまり目立つと町の人にひと狩り行かれると宿の人に言われたので今日はお留守番する事にした。
「あったぞ!」
息を切らせたマスターが、私と目が合った開口一番そう言った。そして持ってきたのは、昨日食べたおいしくない揚げ物で詰まったバケツ。
「これ甘くないバナナなんだってさ!スーパーで話聞いたら教えてくれた!」
「え、でも、それあんまりおいしくない…。」
「だろうな!今日行ったらフライドポテト売り切れてたけど、こっちダダあまりだったから!」
そう言ってマスターは一緒にケチャップとマスタードも鞄から出した。なんでも味変用だそうだ。
「よし!それじゃあ頑張って食べよう!」
「あの、せめて揚げて無いのは…。」
「探せばあるかもわからんが見つからんかった!とりあえず用意できるのはこれしかない!」
「…うう。」
そういって仕方なく食べ始めるも結構残る。残り食べてくださいとマスターに振ると、俺喰っても意味ねえじゃんと正論を言われてさめざめと食べ直す羽目になった。
帰りのバスにて外を見る。結局あの後フライドンディキを食べまくった事でレベルダウンに成功したのだが。
「結構太ったな、いってえ!」
無言でマスターをはたく。一応サイズは進化後すぐぐらいに納まったのだが、横には自覚するぐらい伸びた気がする。それで今はバスに乗って幼馴染さんの飛行機で一緒に帰る途中だ。
「というか、取り越し苦労ばっかじゃないですか…。」
「でも、ここ来ようって言い出したのお前じゃん。」
その一言で色々思い返すと経緯から怒れない事を理解して、それでも理解したくない感情からまたマスターをはたくも今度はガードされた。
「まあ、無事に帰れてよかったよ。」
だがマスターはガード後に私の頭を撫でた。昔、小さい頃は指で頭を撫でてくれていたが今は手のひらだ。そして改めて安心して、自分のやった事が勝手に暴走して勝手にでかくなった事なのを理解して、少し恥ずかしくなってしまった。
「とはいえ結構金使っちゃったから、国に帰ったら食費切り詰めだなー。」
「はい!」
「なんでそこで元気なんだよ。」
そんな会話をしてしばらくするとマスターは寝てしまった。国境の町まで後二時間だ、着いたら起こしてあげよう。後は幼馴染さんとの仲を取り持てばみんな幸せだ。
それと、ンディキを喰いまくった副作用なのか任意で人型に変わる事が出来る様になったのだけど、それは幼馴染さんに振られた時に教えてあげましょうかね。
従魔が進化したんだけど、美少女飛び越してドラゴンになったので元に戻したい。 中立武〇 @tyuuritusya
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