かつて、文明が栄えたが故に世界が滅びかけた。
その結果、「世界の目」というシステムによって大陸中に監視の目が作られました。目から得られた情報をもとに、世界は均衡を保たれていました。
しかし、「世界の目」には「文明の発達を阻害」するという存在目的がありました。産業革命のような機械化による効率化は、文明を発展させ、結果として再び世界が滅ぶ可能性があるという考えからです。
そして、人口増加による問題から、度々人々の間引きが行われてきました。方法は主に「世界の目」が算出します。
人類の生存のために人の命を天秤にかける「世界の目」。その支配はまるで、人間牧場です。
本作では、あらすじにあるように、主人公であるマビダがシステムの中枢たる神に牙をむきます。
おそらく、本作のテーマは「愛」ではないでしょうか。
人類を愛するが故に神となった少年。
家族を愛するが故に神に剣を向けるマビダ。
愛する者を失った街の者たち。
……。
物語の細部に愛が現れます。愛するが故に何を選択するか。作中では常にそれが問われます。
無慈悲な世界で、マビダは何度、その選択を迫られるのでしょうか。
愛故に人は悲しむ。
人は愛を失った時、どう生きるべきか。
マビダは旅の最後に、どのような答えを出すのでしょうか……?