忘れちゃいけない。いつ襲ってくるかわからないのだ、と。

誰にとってもショッキングだったに違いない、正月の震災。家が倒壊した、津波が押し寄せてきた……という事態ならすぐに避難しようとなるが、そうでなかった場合、避難するかどうかは難しい判断だ。
ただごとでない大きな揺れに驚きながらも「避難するか?」に迷う作者様の心理が克明に描かれている。そして避難すると決めてからの行動は速い。日ごろから備えをしておられたことが功を奏したと思われる。
災害はいつどこで誰に襲い掛かるかわからない。それを忘れちゃいけないのだと、拝読して改めて思い直す。「何の教訓もない」と書かれているが、災害に遭った瞬間以降の描写は真に迫り、読み手に緊張を伝え、考えるきっかけとなってくれる。とても貴重な手記ではないだろうか。