近所の心霊スポット

ツヨシ

第1話

教室で、最近急に心霊スポットとして有名になってきた廃ホテルの話をしていると、いつの間にか先生がいた。

「おいおい、まさかそんなところに行くつもりか」

僕はこの先生が嫌いだった。

自分は論理的に話しているつもりなんだろうが、そこには強引な屁理屈と思い込みしかない

。そしていつも思いっきり上から目線で、人を小ばかにしたような態度だ。

先生といえども、やたらと生徒をバカにするのはどうかと思う。

「でも出るって話ですよ」

そう反論した子がいたが、先生は鼻で笑う。

「おばけなんて、いるわけがない。中学生にもなって、そんなこともわからんのか」

「でも見た人がいるって」

その子は引かなかったが、先生はまた鼻で笑った。

「いないよ、そんなもん。ばかばかしい。それほど言うなら、先生が見てきてやるよ」

そう言うと先生は、笑いながら教室を出て行った。


そんなことがあった翌日は、学校は休みだった。

休みが明けて学校に行くと、教室に入るなり数人が話しかけてきた。

「先生、ああ言ったけど、ほんとにあの廃ホテルに行ったのかな。どう思う」

「俺はみんながいる前でああ言ったんだから、行ったと思うけど」

「いや、行ったと言って、実は行っていなかったとして。なあ」

「あれだけお化けなんていないってバカにしてたからな、行ったら行ったで、お化けを怒らかも」

そんなことを話していると、先生が教室に入ってきた。

「ホームルーム始めるぞ」

いつもと変わりはない。

口で言えばいいことをわざわざ黒板に文字をだらだら書き連ね、同時に同じことを偉そうに口で言っている。

しかし、その口と動きが突然ぴたりと止まった。

まるで置物のようにぴくりとも動かない。

何事かとみんなで見ていると、黒板に書いた文字を全て消しだした。

そして新たな文字を書き出した。「

死ね、死ね、死ね、死ね、死ね」と大きな文字で。

――おいおい、どうした?

先生は黒板いっぱいに死ねを書くと、振り返った。

先生は教室全体をなめるように見わたした。

そしてにたり、と笑った。

そのまま先生はすたすたと窓に行き、四階の教室から飛び降りた。


       終

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近所の心霊スポット ツヨシ @kunkunkonkon

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