こたつバトル
どこかのたいちょー
ある一人と一匹のバトル
電源を入れた。温まるまで数十秒程だろう。そんな時間でさえも待っていられないと訴える身体の望むままに僅かな温もりをも求めて布団を捲る。
…どうやら先客が居たようだ。大きな毛玉と目が合ってしまった。
「お隣、失礼しますね」
と一言。
するとこの毛玉はあろうことかこの場所は吾輩の物だと言わんばかりに私がこたつに入るのを阻んできたのだ。
私は思わず出そうになった「普段遊んでやっているのは誰だ?」という言葉を飲み込んだ。
暫しの静寂。
数秒に渡る短い様で長い睨み合い。
ファイッ!
戦いの火蓋は往々にして前触れもなく切って落とされるものだ。
今日も私が先に仕掛けた。
布団を下ろしヤツの視界を奪う。
カーペットを一切ずらさず、かつ走り出すような加速を以て反対へ移動。
すかさず布団を捲り身体を曲げる。
そこで見た毛玉の顔は勝ち誇る様な、私を嘲笑うかの様な物だった。
それを見た私はまたそこで理性を失い、カーペットのことなど忘れ、弾かれた様に蹴り出す。また布団を捲る。
が、もうそこには私の姿は無い。
幾重にもフェイントを重ねた。
見えた!
ここぞというタイミングを見計らい最後の一捲りを決める。
そこで見た物は…
毛玉のモッフモフなおしりと尻尾であった。
私は勝利したのだ!
フハハハハハハハ!
毛玉を引っ捕らえ、勝利と毛玉を抱き締めながらこたつへと身体を潜り込ませる。
私の身体は念願の温もりに歓喜するはずだった。
なのに何故か少しの不快感さえ感じる。
どうにもおかしい。
どうやら勝利の高揚感で少し感覚かおかしくなってしまったようだ。
そうして電源を切り、私達はそのまま眠りに落ちた。
Result:
総試合数:563 (3年前からの累計)
勝利数
私:53
毛玉:328
引き分け:182
こたつバトル どこかのたいちょー @hiiragihiiragi
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