第4話 ミステリというジャンルについて
ミステリというジャンルは他ジャンルに比べ、特殊な分類がなされています。
どういうことなのか。カクヨムのジャンルで考えてみます。
カクヨムには小説ジャンルに限ると、
・異世界ファンタジー
・現代ファンタジー
・SF
・恋愛
・ラブコメ
・現代ドラマ
・ホラー
・ミステリー
・歴史 / 時代 / 伝奇
の9つがあります。この中でミステリだけが仲間はずれなのですが、どういうことか分かるでしょうか?
色々な見方ができるとは思いますが、個人的には物語の内容による分類か構造による分類かで区別することができると考えています。
例えば、ラブコメ。男主人公がヒロインと出会い、最終的に結ばれる。まぁ必ず結ばれるかは別として、このジャンルは物語の内容が定められています。
例えば、SF。科学的に説明可能なタイムマシンなどが登場する。物語の内容ですね。
例えば、異世界ファンタジー、ホラー、歴史……全部そうです。
一方のミステリ。ミステリに定められているのは「謎→解決」という一連の流れのみ。内容は殺人にしようが恋愛にしようが時代劇にしようが、「謎→解決」のフォーマットさえ守れていればジャンルとして認められます。すなわち、構造が定められているわけです。
これってかなり特殊だと思いませんか。この特異性は様々な部分に影響を与えています。
①他ジャンルとの親和性
内容と構造は当然ながら共存します。ミステリで定められた構造の中に他ジャンルの内容を組み込めば、容易に融合します。
一方で、例えばラブコメとホラー。明るい内容と暗い内容がバッティングしてしまい、書ける範囲が狭まります。内容同士は簡単には共存できないためですね。
こういった理由もあって、ミステリの親和性はかなり高いのではないかと思います。だから他ジャンルで活躍されてる作家さん、是非ミステリ要素も入れてみて!(勧誘)
②書く難易度
僕は今のところミステリ以外書いていません。いや、書いていないというよりは書けないのほうが近いです。書いてみたいのは山々なんです。
でも個人的に内容も構造もガチガチに制限されているほうがアイデアが浮かんできます。ミステリで「じゃあ恋愛を書こう!」となれば自動的に内容も構造も一方向に定まるのですが、構造を定めたジャンルはミステリしかない。プロット先行の自分としては、構造を決めるならミステリを採用するのが一番手っ取り早いという……。
もちろん、ミステリばかり読んできたから書きやすいというのもあると思います。というか多分そっちのほうが大きい。
ミステリを書くのが難しいと感じておられる方の原因としては、トリックが思いつかないというのが最も多いでしょう。
もちろんそんな簡単に思いついたら苦労はしないわけですが、僕は前2話の総集編に書いてあることを延々と回し続けているだけです。困っている方は是非実践してみてください。自分なりのトリックの作り方を生み出せればなおよし。総集編に書いてある以外で何かいい方法があったら、こっそり教えてください(笑)
③小説投稿サイトとの相性
はい、もう最悪の極みですね。「謎→解決」の構造が定まっている関係上、最初のほうの伏線を覚えていなかったら解決パートで「あー!あれが伏線だったのか!」となりにくい。僕もリアルタイムで長編を連載中ですが、連載が遅すぎて申し訳なくなりながら書いてます。
ミステリは文章で魅せるというよりかは全体の構成で魅せるジャンルです。それ以外、例えばホラーは登場人物さえ把握していれば怖いシーンだけ取り出しても震えることはできますし、ラブコメも男女がイチャイチャしてたらそれなりになんとかなります(怒られそう)。なので電車内でだけ楽しむようなライト層にも人気がある。
でもミステリは、問題編だけ読んでも「結局結論何やねん」ですし、解決編だけ読んでも「なんか探偵面したキャラが偉そうにしゃべってるな」にしかなりませんから、他の話を忘れて一部だけ取り出したら意味不明になりがち。カクヨムのミステリ長編に連作短編が多いのもそういう理由なのかなと勝手に思っています。
あとは小さな齟齬に繊細なジャンルであるというのもいっそう相性を悪くしていますね。連作短編でない限り、行き当たりばったりで書くことはほぼ不可能。矛盾を潰しながら一作書くだけで鬼のような労力が必要になります。でもこれは他のジャンルもあんまり変わらない? どうなんでしょう。
以上、ミステリというジャンルの良い所、悪い所を思いつくままに書いてみました。ミステリの書き方とはちょっとズレちゃいましたね。
最後にもう一回言います。他のジャンルとの親和性めっちゃ高いよ!🔥
天野純一のミステリの書き方 天野 純一 @kouyadoufu999
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