視線に込められた熱情

「あんたにやられるなら本望だ」

かつての友を見つめて笑う。銃口は互いを向いていた。

「いかれてる」

「あんたも俺も同じだろ?」

友より祖国を選ぶんだから。

理屈に合わない熱情には蓋をする。どうせ残った側が持って行くことになるのだ。そう思えば気も晴れた。痛む心には気付かぬふりをして、引き金に指をかける。


銃声が響いた。

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さくっとSS あかいあとり @atori_akai

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