第2話

 ここはどこだ?気づいたら僕は見知らぬ場所にいた。推察するにどこかの廃工場といった所だろう。スマホのマップを見れば現在地が分かるかな。あれ?スマホは?必死にポケットの中を漁ってみるが、スマホはおろか財布すら無い。

 とりあえずこの場所から出よう。

 そう言って立ちあがろうとした瞬間、ぬるっとした気色悪い感触を感じた。

 まさか、と思い恐る恐る対象物の方に目をやった。血だ。

 血の海の始点となる場所には何か大きな物体が転がっていた。僕は体に全く力が入らず、その場所までハイハイをしながら確認しに行った。

 「死体だ!!!」

 思わず僕は誰もいないであろう廃工場の中で大声で叫んでしまった。

 死体の近くには財布が落ちてる。その中から免許証が飛び出している。警察でもない僕が勝手に覗くのは申し訳ない気もするが、この人は一体誰なんだ。何で死んでるんだ?という気持ちの方が大きいことから、免許証を手に取り目を凝らした。そこには並木遥という名前が記載されていた。僕の彼女と同姓同名だ。何なら漢字すら一緒だ。こんな偶然あるんだなぁ。

 まずは警察だ。早く通報しないと。

 けどだめだ。スマホがないんじゃ連絡すらできない。とりあえずこの場所から早く出よう。誰かに助けを求めるしかない。そのように考え僕はこの廃工場の出口を探した。ん?よく見たらものすごく大きな3Dプリンターがゴロゴロと転がっている。おいおい待て待て、これまだ使えそうじゃないか。売ったら軽く1000万円超えくらいになりそうだぞ。何でこんな高価なものが捨てられてるんだ?僕は疑問に思いつつも、出口を見つけるために工場内を彷徨い続けた。10分ほど彷徨い続けただろうか。ドアらしきものを見つけた。ようやく出口を見つけた。僕は大きな溜息をつき、ドアを開け外に出てみた。なんだろう。かなり久しぶりに外の世界に出たような気がする。変なの。

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