第18話 筋肉兄弟、失踪!?
ダンジョン発生の年代を第二次世界大戦後に変更しました
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第二次世界大終結後、日本は何とか必死に国を復興させようとしていた。
そんな時に日本にだけ、突如ダンジョンが発生した。
人々は苦しみながらも戦い続け、ダンジョンと共存する道を切り開いたのだ。
おかげで現在は日本が世界一の経済大国にまで成長した。
様々な産業は魔石という無尽蔵のエネルギーのおかげでより活発化し、しかも環境に非常にクリーンな為、環境汚染が無いまま産業が発達したのだ。
ならば他国も魔石を取り入れれば日本に追いつけるのではないか。
その疑問は誰もが抱くだろうが、それは出来ない。
理由は不明なのだが、ダンジョン産のものは、何故か日本領域を出た瞬間に消滅してしまう。
魔石もそうだし、魔石を加工して製造された機器・商品もだ。
更に不思議なのが、探索者である。
探索者は日本国籍のままであれば、人外となった身体能力を保持したままなのだが、他国籍になった瞬間に探索者としての能力が失われ、ただの一般人へと成り下がるのだ。
また、外国籍の人間がダンジョンをいくら探索したとしても、人外の能力を得る事が出来ない。
代わりに生まれが外国であっても日本国籍を取得すれば、探索者として人外になる事は可能なのだが、現在の日本は外国人に日本国籍を与えるには非常に厳しい条件を設定しているので、容易ではない。
次の試みとして国籍は日本のままにして外国で優秀な軍事力になって貰えばいいのではないかと言えば、それも出来ない。
どういう訳か、他国に与するような行動を取ると、探索者の能力は消滅する。
産業スパイも探索者の引き抜きも不可能、まるでダンジョンは日本の為に存在しているかのようなものであった。
今、世界のパワーバランスは、唯一無二の産業と探索者という生物兵器を多数抱えた日本一強という、国際的に見て非常に危うい状況になっていたのだ。
「桂葉兄弟、桂葉きょうだーい! ……今日も無断欠席か」
《モストマスキュラーズ》こと桂葉兄弟は、一週間も学校を休んでいた。
クラスでも最弱と馬鹿にされている二人なので、彼等が休んでいたとしても、誰も気に留めなかった。
勿論親交の深い和哉は、かなり心配していたが。
(あいつ等、確かトレーニングの為に深層へ行ったんだよな……。大丈夫なのか?)
和哉が最後に彼等と連絡したのも一週間前。
それ以降音信不通なのだ。
度々桂葉兄弟が学校を欠勤する事はあった。
だが、今回はあまりにも長すぎる。
二人の強さを認めている和哉であっても、流石に何かあったのではないかと心配になって仕方ない。
(よし、放課後あいつの家に行こうか!)
思い立ったら即行動!
Yo!tubeで大人気配信者である彼の信条でもある。
和哉はスマホを取り出し、SNSで「本日の配信は急用でなしになる。すまない」と打ち込み、発信した。
正直授業に集中する気が全く起きない和哉は、スマホでSNSという広大な海原を泳ぎ回って情報収集をしていた。
その中に、やはり《モストマスキュラーズ》が最近姿を見せない事に対しての呟きが散見されていた。
ある者は死亡説を唱え、ある者は筋トレに夢中になりすぎてダンジョンに籠っている説、そしてある者は政府に利用された陰謀論。
それらがじわじわと拡散され、トレンドの十七位に《モストマスキュラーズ》がランクインしていた。
しかも《モストマスキュラーズ》は配信も休んでいる。
失踪だ、死亡だと囁かれていても仕方が無い状況なのである。
(あの二人は元から知名度があったから即収益化出来たけど、流石にここまで間が空くと視聴者が離れちまうな)
二人の親父殿がリストラされてしまった為、急遽配信業を始めた《モストマスキュラーズ》。
今は知名度による人気上昇ブーストに乗っかっているだけで、間が空くのは非常に致命的だ。
しかし二人が探索者になった目的を知っている友人としての立場からすると、その致命的な部分を指摘するのを躊躇してしまう。
(とりあえず二人の家に行って様子を見てから、だな)
和哉の予想が正しければ、二人は無事である。
無事なのだが、ある意味無事じゃないだろう。
(あの二人は極限まで自分を追い詰めて肉体を鍛える。だから、今頃
これもまた、探索者あるあるの症状でもあったりするのだ。
筋肉☆探索 ~やはり筋肉……!! 筋肉は全てを解決する……!!~ ふぁいぶ @faibu_gamer
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