夢のあとさき
鈴木雨丸
◆◇◆◇◆
ひぐらしが鳴いていた。
あたりは夕闇が迫っていた。
その時、自分はどうにも孤独だった。
虫かごは空っぽで。
周りに人の影はない。
「◯◯◯、ご飯よー」
その時、聞き慣れた声がした。
優しい母の声だった。
こんな森の奥にまで、いつもは来ないのに。
「お母さん?」
「◯◯◯、早く出てきなさいー。ご飯、冷めちゃうでしょー?」
「待って、今行くからー!」
母の声がする。
もうすぐ母に会える。
もう、ひとりではなかった。
夢のあとさき 鈴木雨丸 @whitealice318
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