フィクションとのことですが、リアリティのある作品です。

 私は最初に実体験を書かれたものかと思っていましたが、末尾に参考にした本などの紹介があり、綿密な調査と下調べの上に丁寧に作られた作品でだということが分かりました。

 日本の法律について事実をもとに書かれているため、抗えない現実を見せつけられるような衝撃があります。新しくできた法律のタイミングや現代にはそぐわない前時代的な法律のせいで諦めなければならない報われない主人公を通して、現代で起きうる(起きている)問題について、ならばどうすればいいのか? を問いかけてきます。

 文章は文学的で、本当は筆者が読んでいただきたい特定の団体や境遇の方がいるのではないかと感じました。この作品を読むべき人に届くように、今後、カクヨムにて年齢層やジャンルの細分化をして読むべく人に届くよう祈っています。

 私はこの作品を読んで久しぶりに学生時代の課題の本を読んだような懐かしい気分になり、考えさせられました。