最終話 物語が終わり、そして始まる

「それでも…私には…シヴァくんが苦しんでいるように見えちゃうの…」


何故か彼女は俺のことを抱きしめたままそう語る


「俺の苦しみなんてどうでもいいんだ…みんなが…苦しまなければ…」


それでも…アリスは続ける。


「確かにシヴァくんの方法なら苦しまないかも知れない。でもそれは楽しめなくなるんだよ?幸せになれないんだよ?」


「幸せの裏には苦しみがある、表と裏があるようにそれは表裏一体の存在だ。だからしょうが……」


「しょうがないことはない。だって…いまのシヴァくんは


「!?」


「今まで自分の後悔を、未練をすぐに捨てて、感情を殺してやってきたんだよね。辛かったよね。でもシヴァくんは人の為を思って自分が苦しむ道を選んだんだよね。だったら…これから幸せになろう?いっぱい楽しいことしよう?」


「……だったら…もう消えた人に面目が立たない…せめて俺だけでも死…」


「その必要はないよ。そんなに一人で抱え込まないで。」


「だって…その人達は俺の…俺のせいでっ!」


「それじゃあ君が死んだらその人達は満足なの?本当に?」


「……」


「違うでしょ?これから君が償わないと。違う形でね。そして幸せになろう…」


俺はぐうの音も出なかった。


だが…俺の衝撃はこれだけで収まらなかった。


「苦しいことも…2人で分ければそれは半分にわけっこすれば半減だよね…だから…」


そしてアリスは一度ためて…



「っ!?え!?」


「あ、いや…幸せっていったらそれぐらいしか浮かばなくて…」


「……はははっ」


せっかくのシリアスな雰囲気が台無しじゃないか


それでも…


僕の心を動かすには十分だった。


「んん…」


「本当にありがとう…」


「ん…いいよ…」


「もう…こんなことは辞めるよ…これからどうやって償っていこうか」


「もう考え始めるんだ…」


「もちろん」


「そ、それはいいとして…」


アリスはもじもじして顔を赤くしながら尋ねる


「さっきの…へん、じは…」


「ん?さっきのって?」


「もぅ!からかわないで!本気なんだよ!」


「ははっごめんごめん」


そして俺は真面目にアリスに向き直る


「もちろん、俺と結婚してくれ」


そしてアリスは俺に抱きついて泣きじゃくる


「シヴァ…おかえり…そして…おつかれさま…」


俺はそんなアリスの背中をさする。


人肌のぬくもりに触れられた。


俺の心はもう幸せだ。


「もうすんだです?」


そうして不機嫌そうに瓦礫をかき分け歩み寄ってきたのはリール。


「人のいちゃいちゃを見るのは存外楽しいものだね」


そう笑いながら駆け寄ってくるのはガイズ。


「2人とも…心配をかけてすまなかった」


俺は深く謝罪する。


「ふん…もうこりてほしいです」


フンっと鼻を鳴らしながらまんざらでもない様子のリール。


「万全な状態のシヴァくんと戦ったら負けるだろうしね」


そうやって苦笑しつつも許してくれるガイズ。


「俺は…幸せ者だな」


☆☆☆


この支配者の騒動はガイズ、リール、アリスの功績によって収まったと世には報告されている。


まぁほとんどそのとおりだが。


この日地球は…


一度終わったと言っても過言ではないだろう。


人口減少がひどすぎる。


街の損害もだ。


そして俺たちの物語もいちど終わっただろう。


だけど…


終りがあると言うことは始まりがあるということ。


俺とアリスが結婚するのはまた後の話―――



<あとがき>

どもども!純怜です!

ついにこの物語も最終回。

ノリと勢いでかいた作品ですが…

最終回なので書いときますと、この作品は「表裏」をモチーフ(?)にした作品です。

最後までご愛読ありがとうございました。


別作品もよろしくお願いします。

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魔力0の俺は魔法が使えない…いや当たり前。 純怜 @Su3Le

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