第24話 アリスVSシヴァ
「アリス・クランベリー…なるほど見たところ勇者の直系の子孫だというのはあながち嘘ではなさそうだな」
シヴァとアリスが相対する
「ねぇ…ほんとにいいの?」
「なにが?」
「人類を滅ぼす、こと…」
またそのことか
「それはただの過程に過ぎない。ただ、俺は神を殺す。それが達成できれば過程は関係ない。どんな犠牲を払っても最後に結果が出ればそれでいい。そこに俺の私情は介入しない。」
「そこには…苦しむ人もいるんだよ…」
「これからの人生の苦しみを圧縮して一点に集めることよりも苦しくはないだろう。」
「……」
「これで誰も苦しむ人は居なくなる。存在しなければ苦しむこともない。」
だけど、アリスはそれでもあきらめない。そういう瞳をしている。
「でもね…」
その瞬間アリスが魔法を発動する。
『
「!?」
嫌な予感がして体を少しずらす。
その真横を何らかの光が通過する。
「俺の知らない魔法…」
「これでも私は自称最強の魔法使いだからね」
そしてアリスはもう一度魔法陣を構築する
『略式・
今度は弾丸が俺の真横を通過する。
「速すぎるな…あたったら即死だ。」
「なんで当たらないの…一応
ははっと笑いながらアリスは頬を掻く
笑ったか…
やっぱりあの男と同じだ、窮地に立たされるほど笑う。
それは人間の原理か?
まぁどうでもいいか
しばらく思考にふけっていたら…
『略式・
能力が使えない俺は避けるので精一杯だ。
地面が割れ、空気を震わせる。
一撃一撃が重い。
俺も次に賭けるか。十分に気を練り上げ、次への一撃を構える。
そのとき…
『吾此処に在り。仰ぎ見よ。この樂は世を震わせる。地を砕き、天を穿つ。』
まさか…ここで略式ではなく詠唱を使ってくるとは…
略式はすぐに魔法を打てる代わりに技術が必要ないが、威力が下がる。
しかし…
詠唱は高度な技術を必要とし、発動まで時間が掛かるが威力が桁違いだ。
『煌響曲 第101番 「
アリスの手に力が集まる。
今までとは比にならない。
ここからでもわかる。
体が震える。
ここまで高揚したのは久しぶりだ。
ならば俺も本気を出そう
『発勁の法・
発勁の構えで前方に手を押し出す。
それは空を裂き、周囲を巻き込む。
アリスも技を放つ
『破綻への序曲』
それは虚空を切り裂き周囲の魔力を総て取り込む。
それを一点に集め…それを開放した。
これは…
「囮か…」
これさえも囮にするのか…
「最強の魔術師というものは恐ろしいな…」
爆風、塵で前が見えない。どこにいるかもわからない。
眼の前には瓦礫の壁が渦巻く。
その時…
「っ!?」
その渦の中心を打ち破ってアリスが飛び込んでくる。
俺は警戒して拳をアリスへ叩き込む。
その拳はしっかりとアリスへ叩き込まれる。
「しまった…!」
殴ってしまった。警戒して拳を叩き込んでしまった。
だが…
「……」
「っ!」
アリスは…
俺を抱きしめた。
「シヴァくんの方法はたしかに全員が苦しまないかもしれない」
でもね、とアリスは続ける
「でもね、それでも全員が苦しまないなんてことはないんだよ。少なくとも一人は苦しんでいる。」
アリスは俺を抱きしめながら…なぜ…
「それはね…シヴァくんだよ」
自分の体に力が働かない。
「……」
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