古人
私が詩を書くとき、私の外部から殺到して来るのは、家の軋む音でも、人の往来や馬車の行き交う音でもない。
高みに広がる空に輝き、湖にはその影を落とす月の姿でもなく、あの星々の大きな光や小さな火花でもない。
あなたを想う無防備な私に迫り来るのは、いつも同じ。それは今現実に見えているもの、今や遠い世のことのように思えるもの、わたしの五官をここへと引き戻し、惑わせる現象たち。
電車のアナウンス、車のクラクション、合成された男女の音声、落ちることも昇ることもない、素っ気ない光の放射、空を突き刺す異様な、孤立した山々、わたしはそれらを聴き、見るときにこそ、この胸のうちに古の詩が湧き上がるのだ。
古い詩集 本居 素直 @sonetto-1_4
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