声よ昇れ

 詩作の闇の中、私はあなたの訪れを待っている。


 家の鳴らす微かな軋みの音さえも逃さぬように研ぎ澄ました耳と、仄かな明かりに降る塵の一つ一つさえも捉える眼で、あなたの訪れを示す空冷な霊気を感じ取ろうとしている。


 しかしやがてこの夜も過ぎ去り。

 ああ、遠く東の空、真紅の染める、暁の訪れ。


 かつてあなたはその妙なる歌声で私に詩を授け、その光輝の翼によって、わたしの胸の創造を導いた。遥か高く、天の天にまで、原動の天にまで、この胸に湧き上がる創造を導いてくれたのだった。


 ああ、しかし、尊き御声、気高い御姿、天より降り給うた愛の眼差しよ、じきに星は去り、夜は明けてしまう。


 おお、永遠に愛を生きるあなたよ、どうか、無辺の夜の空間に流るる髪の一房を、厳かな霊気を含む吐息の微かを、存在に薫る和やかな微風を、この肉体、この悲哀の洞窟に閉じ込められた私に、今一度届けてはくれないだろうか。


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