第1話
事の始まりは半年前。
私、
ある日、私は真夏の蒸し暑さから逃げるように山登りに出掛けた。
が、運悪くそこで足を滑らし、崖から転落し奈落へダイブ☆
もちろん彼氏や友達といたわけでもなく、ぼっちで山登りに参戦したから誰かが気づいて助けに来てくれることもないだろうなぁ、あはは☆(やけくそ)
そんな薄っぺらいやけくそのノリは落下の恐怖に勝てるはずもなくコンマ数秒で終わってしまった。「死ぬ」という現実が突き付けられると同時に意識が飛び始めた。
走馬灯の上映が始まろうとする中、どこかで地面に着地したような気がした。
幻覚ならぬ幻触?なにこれ?とプチパニックになったのが最後、そこで意識は途切れた。
目が覚めると、見知らぬ土地にいた。 すぐにわかったのは、天国じゃないってことだけ。最初は異国の言葉が理解できなかったが、徐々にわかるようになってきた。私の順応性高すぎない???天才か???
とりあえず自分の現状を確認したところ、荷物のほとんどがなくなっていた。 まあそりゃ落下したんだから当たり前なんだけど、スマホすらないのがきつい。服装も目立っていたのか、周りからの視線が辛かった。
なぜならそこは貧民街っぽいところで、私の服装は周囲の人々に比べると高価なように見えとても浮いていた。
かといって頼るあてがあるはずもなく、とりあえず貧民街をうろついていた。
「やぁやぁそこのお嬢さん。見ない格好だね。」
突然、後ろから声をかけられた。振り向いた先には、何やら怪しげな人が立っていた。
「どこに行こうか決めていないんだろう?もしそうなら僕のショー、見ていってくれないかい?」
よくみると、通りすぎた場所に何やら小道具などが並べられている。
ぼーっと歩いていたので全く気づかなかった。
「い、いいですけど、そもそもあなたは一体…?」
「僕はただの道化師さ。そして、君はおめでたいことに僕に選ばれたお客さんだ。
君に、今から面白い体験をさせてあげようじゃないか。」
そう言うと彼は私の手を引き、ショーに参加させた。
率直に言うと、よく見る手品だったしそこまで凝った演出はしていない。
だけど彼の人情なのか、瞬く間に引き込まれていくのが自分でも分かった。
気づけばショーは終わっていた。
「あ、ありがとうございました…!!」
「いえいえ、こちらこそ。
ところで君、本当に行くあてがないんじゃない?」
急に本心をついてくるので、なんと返していいのか迷ってしまう。すると、
「今夜泊まるあてもないなら、僕の家に来ない?
まぁ、そんな豪華なおもてなしはできないんだけどさ」
その言葉に私はすごく感動した。 実際のところ、宿舎のようなものも見当たらないし、野宿になるかと心配していたから…
「是非お願いしてもいいですか?お邪魔にならない程度にするので…」
「全然構わないよ。なにせ独り身だから部屋は余っているんだ」
というわけで清水梨蘭、異世界に来て初イベント。
道化師のお兄さんのお家にお邪魔します!!
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