第5話
「あげる?ちょっとまってくださいその意図もっと詳しく」
「僕は超過した魔力を魔道具に注いでいるといったよね。それと同じことを魔力の無い梨蘭にしたら僕の超過した魔力はチャラに、そして梨蘭は魔力を得て魔法が使えるようになる。」
「いやいや…突飛しすぎてません?やったことあるんですか?」
「もちろんないよ。人体実験だし。」
「ですよね。」
「だから決めるのは君自身だ。だが僕の本音としては協力してほしい。死ぬかもしれないが君が必要だ。」
「死にたくはないんですけど。」
「まぁ自分の命を大切にしてほしいのはもっての他だし強要はしないよ。でも願わくは僕のために君が動いてくれることがあるならばとてもありがたい。それだけだ。」
「そりゃ私もランスさんを救いたいですよ。家にとめていただいてるご恩もあるので。」
「いや?単に僕の好奇心が満たされる。」
「…なんとなくランスさんのこと分かってきたかもしれません、そういう人なんですね。」
「僕の事を知ってもらえて光栄だよ(ニコッ)」
「まぁ私の結論としてはいいですよ。『死にたくない』は前言撤回です。むしろ本来なら死んでいたはずの命なのでどうぞご自由にって感じです。」
「あはは、君も大概肝がすわっていると言うかなんと言うか…だね(笑)」
「まぁお互い様です。それよりどうします?いますぐやってみても別に構わないですけど。」
「いや、一旦準備をしないといけないからまた後日にしよう。それに時間も時間だし。」
そう言われふと外を見ると、辺りはすでに真っ暗になっていた。ずいぶん話し込んでいたみたいで全く気がつかなかったけど。
「ご飯はどうする?僕は昼間に食べたからもういいけど。」
「私も大丈夫です。ランスさんも疲れていると思うのでそろそろおやすみしませんか?あ、私は床で寝させていただいても…?」
「え、なに?自分で拷問をご所望で?ちゃんとベッド用意するからそこで寝てね。」
「いやランスさんの邪魔をするわけには」
「確か物置にマットレスと厚めのブランケットが予備にあったはずだし、僕はそれで寝るよ」
「せめて私がそれで寝させてください。」
「でも」
「これは私の意思です!!」
「…わかった。用意するから待ってて。」
どうにか押し通し無事寝床を確保。
「用意できたよ。少し汚れていたけど、一応魔法で綺麗にしておいた。」
「…はやくそんな便利な生活ができるようになりたいです。てか布団じゃんやったぁ」
「ちゃんと段階を踏んでからやるからそれなりに時間はかかると思うよ。あと布団ってなに?」
「こっちの世界の寝具のひとつです。ベッドもあるんですけどこうして床に敷いて寝る文化もあるんですよ。」
「それは興味深い。またそちらの世界についても話を聞かせてほしいな。」
「どうせ元の世界に戻れやしないので記憶が薄れないうちにいくらでもどうぞ。」
「ふふ。それは楽しみだ。」
こうして、私の異世界生活一日目が終了したのでした。
(なんか布団めっちゃいい匂いする…)
魔力なしの私、ひょんなことからチート級魔法使いになります!? 有素 @u_so
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