第2話
案内されたのは道化師さんと出会った貧民街から遠く離れた湖だった。
湖の横には、少し大きめの家が一軒建っていた。
「長い間歩かせてしまってごめんね。ここが僕の家。
なにも用意できてなくて悪いけど、とりあえず中に入って。」
「いえいえ!!お気遣いなく!!」
内心、貧民街でのちっぽけなショーからは想像できないぐらい豪華な家だと思うんですけど…ちょっと動揺が隠せそうにない。こんなこと言ったら失礼なんだけど。
「おじゃまします。」
中はすごく整っていて、暖かみのある家だった。
私はそのままリビングに通された。
目が行ったのは部屋の隅にある机。きれいに整っているからこそ何やら分厚い本が積み上げられていた机は少し部屋の雰囲気から浮いていた。
(医学書…?しかもなにかの治療法みたい…)
「ごめんね、ちょっと散らかってるけど好きなところに掛けもらって構わないから。」
突然真上から、正しく言うと背の高い彼が真後ろから発した声が降ってきて思わずのけぞる。
「おわぁっ!?すすすすみません勝手に、その辺の地べたにでも座っておきますので!!」
「いやいや客人に、しかも女性に地べた座らせる僕の肩身が狭いよ~ほら、遠慮しないで」
そういうと彼は椅子を出してくれた。
勝手に荷物を見ていたことがばれた驚きと整った顔が間近にあった驚きで心拍数が爆上がりしてしまう。さらっと椅子を用意できるのも紳士だな。
「で、僕がここに君を呼んだのはもちろん野宿志望の女性をほっとけないのもあるけど~もうひとつ、君何か訳アリなんじゃない?」
「……おっしゃる通りです」
「まぁ全部が全部話さなくてもいいからさ、どういう経緯で、そんな見たことのない服装をした君があの貧民街をうろついていたのか、理由を教えてくれない?」
ついに問いかけられてしまった… まぁ出会ってすぐ問いかけられていないだけ彼の懐の広さを感じる。
真実を包み隠さず話してしまっても大丈夫なのか、それとも脚色したありもしない物語を話すか…
かなりの長い時間、沈黙が続く。
沈黙を先に破ったのは彼の方だった。
しかし、破られた理由は会話を試みた訳ではなかった。
「ッ…ゲホッゴホッ…」
「んぇ、あ、だ、大丈夫ですか?」
「ごめんね。せっかく色々考えてくれてたところを遮っちゃって。
一度席を外すから、その間に話す内容まとめといてくれない?」
「わ、わかりました…」
そういうと彼は別の部屋へと消えていった。
異変が起きたのはその後だった。
私はただ言われた通り帰りを待っていた。 もちろんその間も言い訳しようか悩んでいたわけだけど。
すると、彼が消えた部屋から淡く、けれど強い光が見えたのだった。
(…なに?あの光…)
すごく気になったが、覗くのはいけないと思い、部屋から目をそらした。
(そもそも異世界初心者の私が勝手に変な想像とかするのはよくないよね、 超基本的な何かだったら恥ずかしいし余計知らないこと問い詰められそう…)
そらした目線の先にあったのは先ほどの机で、山積みの本の背表紙がならんで見えていた。
(…魔法医学?ってことはあの人の本業ってお医者さん…?
まって、超過症の治療について?不治の病とつきあい生きる…
これ、治療する側じゃなくて、患者側の資料だ)
何気に大学では医学をかじっていただけあって(普通はありえないんだけど医学の教授が超超超超ゆるくて単位とりやすかった)私は資料の共通点にはなんなく気づくことができた。
問題は…
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