ベトナム紀行

第15話 簡単なベトナム資料

ベトナム社会主義共和国　正式名称はベトナム語で "Cộng Hoà Xã Hội Chủ Nghĩa Việt Nam"略称は "Việt Nam"ベトナム語の漢字（チュハン）では「共和社會主義越南」「越南」となる。

文字　チュ・クオック・グー（𡨸國語）

声調をもつベトナム語を表記するために発明された声調入りアルファベット。現在唯一の公用文字。17世紀にフランス人のイエズス会宣教師、アレクサンドル・ドゥ・ロードが、カトリック教会布教の為に発明した文字。それまでは漢字が使われていたが、現在では漢字教育は行われていない。

1802年に現代とほぼ変わらない領土で統一した人物は、阮（グエン）朝の創始者の阮福暎（嘉隆帝）である。1804年には清の嘉慶帝から越南国王に封ぜられ、「越南」を正式の国号とした。

ベトナムでは下の名前で呼ぶ。何故なら阮（グエン）姓は国民の６割を占めるから。

人口約　103,808,319人（2022年）

GDP（MER）（2023年）3８９８億ドル。ちなみに日本は4兆2601億ドル

1986年社会主義型市場経済を目指す「ドイモイ（刷新）政策」を開始し、改革・開放路線に踏み出す。

経済成長率は2000年からコロナ前までは６％～７％台で来ていたが、コロナ禍の中では２％台に落ちたが、2022年度は８％台に回復した。

行政区画　58省と、5の中央直轄市（首都ハノイ758万人、ホーチミン市（旧サイゴン824万人）、ダナン（中部１04、ハイフォン（北の貿易港210万人）、カントー（南部 メコンデルタ 最大の都市160万人）

民族構成

公式に認められている民族が54あり、そのうちキン族（ベトナム族）が85%から90%を占める。その他に少数民族としてホア族（華人）、ターイ族・ヌン族、クメール族、ムオン族、モン族、ザオ族などがある。少数民族のうち、ホア族とクメール族以外の大半は山地に住む。

推薦本

坂場三男（以前ベトナム大使だった人の本、2015年発行『世界一親日な国・ベトナムの素顔』）2008年から2010年の３年間ベトナム大使を勤め、５３省（当時の省数）５直轄市全てを訪れたという。その私見を述べている。勤勉性等国民性は似通っているところがあるが、最大の違いは、ベトナム人は何かにつけて楽観的、日本人は悲観的に物事を見ると記述。

それとベトナムで好きな国の世論調査をすると、必ずベストスリーに入るのが、日本、米国、フランスだと述べているのが印象に残る。フランスはベトナムを植民地にし、インドシナ戦争をした相手、米国はあの過酷なベトナム戦争（ベトナムでは抗米戦争）の敵国であった。日本も仏印に進駐している（＊印参考）。このことは、結局最後は仲良くやるしかないし、その方が誰もが得をすると云うことを意味していると、私は思うのだが・・国際情勢と云うのはそんなに簡単なものではないのだろうか？

今、ウクライナーロシア、パレスチナーイスラエルでの戦争が報じられている。冷戦が終わった時、NATOは解体、日米安保条約も見直す。あらゆる軍事同盟は要らない。そんな世界を私は想定したのだが・・第二次大戦後の世界で、ドイツと日本はアメリカの顔色ばかりを見ないで、平和勢力としての役割もっと果たして欲しかったと思うのだ。

因みに、中国は最大の貿易相手国、米国は輸出先としては一番、日本は最大のODA支援国である。その見返りは又十分にベトナムから受けているのだ。

＊日本軍は太平洋戦争末期までフランス領インドシナ政府と共存していた。その後、日本軍は、1945年3月にフランス領インドシナ政府を解体した。そして日本の敗戦、この権力の空白はベトナム独立同盟（ベトミン）に有利に作用し、ホーチミンの独立宣言・８月革命に結び付いたという皮肉な歴史がある。

堀場氏が全ての行政区を訪問されたのは、ベトナムを知りたい、ベトナム人と会って知りたいという強い意欲があったからだと思う。もう一つ「草の根ODA」という制度があったからだと思った。ベトナム戦争では日本は直接戦争には関与しなかったが、沖縄の基地からはベトナムへ爆撃機が飛び、南ベトナム政府を支援した。統一後のベトナムへのODAによる貢献が、ベトナムの親日に繋がっていると思う。大型のインフラ整備のODA案件も大事であるが、一つの村の一つの小学校は５００万円で建つと氏は述べている。一つの村に出来た水道施設は、女性から水汲みの重労働を開放した。谷川を越えた一本の橋は一つの村と一つの村を結び付けた。これらの小さな自治体の長は直接大使に相談に来るシステムになっている。そして、そのような記念催事に呼ばれる機会を氏は厭わなかった。軍事費予算増額！それに費やすお金があるなら、をもっとこのようなODAに回せたらと思うのは私だけだろうか。

大国アメリカが勝てなかったベトナム戦争については、私は『戦争と革命の時代』で書いている。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889756257/episodes/1177354054889756440

ベトナム側120万人が死亡。民間人200万～300万人が死亡したとされる。アメリカは戦死者58000人、負傷者３０万人、トランプ時代のコロナでの死者は100万人を超して1,144,877人である。