運命の告白
東雲三日月
第1話 妖精さんに遭遇
時刻は0時、僕は布団に入ると、今日の出来事を振り返って泪していた。
何故なら、僕は今日、写真部の部活仲間でもある幼馴染の
男のくせに、自然と目から流れ落ちる泪を拭っていると、突如として枕元に小さな羽の生えた人間らしき少女のような者が目の前に現れた。
まさかと思い、目を擦るものの、枕元には小さな妖精らしき人がはっきり目視できている。
こんな状況は有り得ない······それに、こんな展開は苦手だ。
「えーっと、貴方は誰? もしかして妖精だったりするの?」
お化けとか、幽霊を信じて無かったこともあり、怖いとか恐怖に感じるとかは無かったからだろう、気付くと自然体で質問していた。
「そうよ、私は妖精のルナです、こんばんは!」
「こ、こんばんは」
僕は、質問したことで眼の前にいる何者かが妖精だと分かってしまい、その後の展開をどうすれば良いか分からず、戸惑いのあまり言葉が出なかったのは言うまでもない。
お化けや幽霊に遭遇する話は聞いたことがあるけど、まさか妖精に出会ってしまうだなんて、思いもしなかった展開に困惑していると、今度は妖精のほうから話しかけてきた。
「君が失敗した告白について私は全部知っています」
「全部知ってる?」
「はい、ずっと見させていただきましたので、今回のミッション失敗したことも知っていますよ」
ミ、ミッション······?
「……こ、告白してたの見てたんですね?」
妖精だからって何をしても良いわけじゃないと思うけど、僕は一瞬ストーカーのような空気に嫌気がさした。
「はい、姿を消して、バッチリ傍で見させていただきましたよ。 だから気付くわけありませんね! 今回はとても残念な結果でしたが、もし、君が望むのであれば、もう一度チャンスを与えてあげようと思い、私は妖精の国からやって来ました」
「チャ、チャンス!?」
「そうです、もう一度やり直せるチャンスです。 欲しくはありませんか?」
そりゃ、もしやり直せるチャンスがあるならほしいけど、いきなりやり直せるって言われても、それが一体どういうことなのか僕の頭ん中では想像できなかった。
「ほ、欲しいです……」
とはいえ、リカバリーが効くなら、再チャレンジはしたい思いが強かったので、妖精の提案に興味を持った僕の口から出たのはこの言葉だった。
「かしこまりました。 それではお手伝いさせてもらいますね」
そう言うと、妖精の身体がキラキラ光出し、何やら呪文らしき物を唱え始めました。
僕には、その呪文が何を言っているのか聞き取りづらくて良く分からなかったけど、心地良い呪文の響きに誘われ、どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。
目覚めるともう朝になっていて、自分の部屋のベッドの上にいた。
僕の記憶から思い出せるのは、妖精との出来事が昨日だったということである。
だとすれば、今日は次の日であるはずなんだけど、おかしなことに何故か部屋に置いてあるカレンダーが違っていた。
まさかと思い辺りを見回すと、部屋には冬服ではなく、夏服が引っかかっているでは無いか。
僕はあろうことか過去に戻っていることに気付くと、驚きのあまり叫んでしまっていた。
「嘘だろ――!」
⋯⋯しかし、嘘でなかったことは直ぐわかることになる。
何故なら、叫び声に気づき隣の部屋にいる中学生の妹が駆けつけた時、彼女が身にまとっていたのは半袖の制服だったからだ。
「お兄ちゃん、朝から大声だしてどうかしたの? ビックリするじゃない」
「ご、ごめん、ゆ、夢をみてたんだよ……」
「夢? そ、そっか……なら仕方ないか、えへへ」
そう言うと、妹は疑うこともせず部屋を出ていったので、叫んだ理由がなんとか夢でごまかせたらしい。
ところで、今日の日付は……? 知りたかったのにうっかり妹に聞きそびれてしまった。
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